ゼロエミ式キノコ栽培マニュアル

キノコの種菌について

キノコの種苗法


キノコ関連の種苗法を少し調べて見ましたがわけがわかりません。疑問がわくばかりです。種菌がないとキノコ栽培はできません。日本ではPPボトル(800CC)入りオガ種菌が主流で、家庭から出るゴミを使って、ペットボトル2、3本で栽培する場合にはちょっと多いです。ゼロエミ式キノコ栽培用に小分けした種菌を配布したいのですが、日本は法律が厳格なので、合法と確認ができるまで、なかなか実現できない状況です。クワガタ用の菌糸ビンは勝手に培養して売っていますが違法ではないのでしょうかね?法律に詳しい方いましたらメールにてご教示ください。よろしくお願いします。

ちょっと注意事項

日本には種苗法というものがあるので、ここで紹介する方法の一部を日本で行うと法律に引っかかってしまう場合もありますが、ただ、国際協力活動等で種菌の入手が困難かつ種苗法など存在しない発展途上国などで当技術を利用したい場合、かなり有用な情報が含まれていますので参考までに紹介します。紹介する技術に各人で法律を照らし合わせ、利用に関しましては自己責任でお願いします。種菌開発は大変です。研究所や会社はすくなくない開発費をかけて優秀な系統の菌 の作出に努力しています。簡単にコピーできますが、そんなに高いものでもないので、環境が許す方は購入してください。

感謝しましょう

種菌を生産する会社、研究機関ではまず種菌になり得る菌糸をゲットすることに多大な費用と時間をかけています。ただし、ただの菌糸ではいけません。純粋な菌糸だけなら山にいけば簡単に手にはいりますが、種菌として販売するためにはその菌糸が優秀である必要があります。具体的には種菌を購入するキノコ生産者が儲かるための菌、いっぱい採れて、早く成長するキノコの菌を開発しなければいけません。この開発にお金と時間と手間がかかるのです。

大阪ミナミにいてる人はみな関西人ですが、それぞれ違った親を持ち異なる遺伝子を持っています。みんながみんなたこ焼き好きなわけではありません…それと同じようにスーパーに並んでいるシイタケもどれもこれも同じような顔しているシイタケですが、そのシイタケの中にも色々な系統があります。系統によって親が違い、異なる遺伝子を持ち、大きくなる品種、成長が早い品種、暑さに強い品種、etc、色々な種類があります。たこ焼き好きもいれば、お好み焼き好きもいる、いや、もんじゃが好きという人がいるようなもんです。

キノコの生産者は自分の栽培環境、方法、販売戦略を考慮して、数多くある品種系統のなかから自分に合った特性を持った品種系統の種菌を選び購入し栽培します。種菌の開発者はその生産者の要望に答える菌を開発しなければなりません。

菌の開発方法のひとつに、野生株を採集し、掛け合わせ、優秀な性質を持ってる菌株だけを選抜する方法があります。胞子をひとつずつ取り出し、掛け合わせ、多くの系統の菌糸をつくり、それらの発生実験を何度も重ねて特性を調べます。そこから優秀な系統の菌のみを選抜して品種登録し種菌として販売するのですが、そんなに簡単に優秀な系統はみつかるものではありません。今はもっと高度な方法で品種改良をしていると思いますが…

キノコはコピーが簡単に取れます。優秀な親の子供に期待するのではなく、優秀な親をそのままクローンするのです。胞子からもキノコはでますが、それはその胞子を持っていたキノコとは遺伝的に異なります。つまり人間の親と子供のような関係です。子供は人間と同じように千差万別、優秀なのもいればアホなヤツもいます。栽培で使う〔商売で)にはどんな風な大人になるかわからないものを育てるギャンブルはできませんので、優秀な親株をクローン培養して増やし種菌としたのも使用して栽培し、きのこを生産、販売します。これなら計算ができるからです。優秀な系統の開発こそが商用キノコ栽培の基礎なのです。キノコ栽培をする者は種菌の開発者に感謝しなければなりません。

参考までに

はっきり言って普通の人には 法令を読んでもわけがわかりません。(わかるひともいるかと思いますが) 自分もネットでキノコ関連に種苗法の法令等をチェックし読みましたが、あっと言 う間に頭が痛くなりました。拡大培養は法律違反、農業従事者と個人は違う、品種によって違うetc.....

これは直接質問したほうがよいと農林水産省に電話して回答をいただきましたが、その時はなんとなく理解できたつもりで、電話を切ったのですが、よく反芻して考えて見ると曖昧な理解しかしていないことに気づき、再度、メールし質問しました。現在、回答待ちです。

ただ、メールした後も、じゃあ、山から採ってきたキノコから種菌をつくってそ販売する行為は?実費のみで譲ることは?など色々、疑問がでてきています。日 本はきっちりした国(最近、そうでもないようですが)なので、曖昧にしてあとからとやかく言われたくないので疑問はきっちり解決しておくつもりです。

なぜなら、いかに簡単なゼロエミ式でも種菌がなければどうにもならないのです。また、家庭でペットボトル1個で実験したい場合など、800CCボトルの種 菌は多すぎます、また使い勝手がよくありません。ゼロエミ式が普及すれば小袋種菌やその他、ゼロエミ式にあった種菌のを種菌会社に依頼することも可能だと 思いますが、普及までの道のりは果てしなく長いです....(悲観的)

家でちょっとだけゼロエミ式を実験してみたい方には当方で種菌を生産し実費または無料で譲ることも考えています。それらの行為の合法性、違法性について きっちり認識を持っておくべきだと考え、農林水産省に質問している次第です。

コロンビアではなんの問題もなかったんですが......農業大臣にさえ指摘されませんでした(笑)日本は大変です。

以下、農林水産省に出した質問です。

キノコに関する種苗法について 受付番号:35740

お世話になります。

先日、電話で質問したのですが、はっきり理解できなかったのでお手数ですが、再度、質問させていただきます。

以前、説明していただいた内容の、当方の認識は、品種登録された購入種菌の自家培養は法律違反(すべての品種)。ただし、購入した会社の許可がある限りは 許される。スーパーで売っているキノコからの組織分離による種菌の生産は法律規定がないというものです。この認識に誤りがあれば指摘お願いします。また、 以下に具体的な質問をあげさせていただきましたので、こちらも回答お願いします。

1.購入した種菌を自分で再度培養し種菌生産をする行為(拡大培養)の違法性

:農業従事者と個人では違うような説明をうけたのですが、農業従事者のとはどのようなものでしょうか?たとえば農業免許のようなものを交付うけている等、具体的に農業従事者の規定を教えてください。

:自家生産用、自家培養した種菌を他人に譲渡する行為、自家培養種菌の販売行為のそれぞれの違法性

:品種による法律規定の違い

2.スーパー等で販売されているキノコから組織分離して種菌を生産する行為の違法性

質問の具体的内容は1と同じです。

よろしくお願いします。

 林野庁 林政課より丁寧な回答を頂きました。以下内容を貼り付けておきます。

(回答) **様

農林水産省生産局種苗課法令専門官**と申します。 林野庁にご質問いただきました件につきまして、種苗法の条文・解釈に関するも のであるため、種苗法を所管する当課の方からご回答させていただきます。ご了 承ください。

種苗法は、農業者(個人又は農業生産法人)が、最初に育成者権者等より譲渡さ れた登録品種等の種苗を用いて収穫物を得て、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、 これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばないと定めており (種苗法第21条第2項本文)、原則として、いわゆる農業者の自家増殖につい て育成者権者の許諾を不要としております。 自家増殖は、本来であれば「種苗の生産」(育成者権の効力が及ぶ行為)に該当しますが、従前からの慣行を踏まえ、種苗法は、育成者権の効力の例外として、自家増殖について育成者権の効力が及ばない(育成者権者の許諾不要)としております。

ただし、自家増殖は、?契約で別段の定めをした場合(種苗法第21条第2項ただし書)、?農林水産省令(種苗法施行規則)で定める栄養繁殖植物(同条第3項) については、例外として、育成者権の効力が及ぶこととされており、これらの場合に自家増殖を行うときには、育成者権者の許諾が必要とされています。 ?農林水産省令(種苗法施行規則)で定める栄養繁殖植物については、現在81属 ・種が定められており、きのこについては、しいたけ種、はらびらたけ種及びほんしめじ種の3種が定められております。

ご質問等につきましては、

1 拡大培養の違法性について

(1) 農業従事者

自家増殖の認められる者については、種苗法施行令第5条で定められてお り、農業を営む個人又は農地法第2条第7項が規定する農業生産法人です。農業を営む個人としては、農業を営んでいれば足り、免許等はありません 。

(2) 自家培養した種菌の販売行為

自家増殖は、上記のとおり、購入した種菌を用いて収穫物を得て、この収穫物から種菌を得る場合ですので、登録品種の種菌を購入し、単に(収穫物か らではなく)培養して種菌を増やす行為は、種苗の生産に該当し、上記の自家増 殖に該当しませんので、育成者権者の許諾が必要です。育成者権者の許諾なく、上記の培養をすることは育成者権の侵害に該当 し、増やした種菌を販売することも育成者権の侵害に該当します。

(3) 品種による法律の規定の違い

品種登録を受けることができるきのこは、現在、32種類です(種苗法 施行令第1条参照)。登録品種であれば、原則として、品種によって取扱いが異なることはありません。自家増殖については、上記の3種については、例外的に育成者権者の許諾が必要とされ、それ以外の種の自家増殖については、育成者権者の許諾は不要 です。

2 組織分離の違法性

スーパー等で販売されているキノコから組織分離して種菌を生産する行為は 、上記の自家増殖に該当しませんので(種菌を購入して収穫物を得たものではない)、育成者権の侵害となります。

以上のとおり、ご質問に回答させていただきます。ご不明な点等がありましたら 、当職までご連絡ください。 なお、個人情報保護の観点から、BCCに設定させていただいております。ご了承ください。

品種登録ホームページに、自家増殖に関する Q&Aが掲載されていますので、ご参照ください。 林野庁 林政課

農林水産省品種登録ページ

 以下、種苗法関連の担当セクションです。質問等があれば電話またはメールしましょう。(林野庁の意見質問メール)

農林水産省 林野庁

代表電話番号 03-3502-8111
林政部 経営課(特用林産対策室)

ダイヤルイン(03-3502-8059) FAX(3502-8085)

特用林産企画班

特用林産物の生産・流通・消費の増進・改善・調整の企画・調査

特用林産指導班

特用林産物の生産・流通・消費の増進・改善・調整の指導・助成

特用林産加工・流通班

特用林産物の加工・流通・輸出入

種菌検査官

きのこ種菌表示検査、菌害(トリコデルマ)混入の有無の検査

農林水産省生産局

代表電話番号 03-3502-8111

種苗課

ダイヤルイン(3502-5966) FAX(3502-5301)

総務班

企画・法令・庶務・会計

育成者権保護班

農林水産植物の品種登録,育成者権の保護及び活用
UPOV条約(植物新品種保護国際条約)

種苗産業班

種苗の生産・流通の技術振興,園芸農作物の種苗の生産、流通及び消費,指定種苗の取締り・品質保全,種苗業者の指導
(独)種苗管理センターの組織及び運営一般、工芸農作物・いも類の種苗の生産・流通・消費

審査運営班

農林水産植物の品種登録の審査基準

審査官

農林水産植物の品種登録の審査