培地準備

ゼロエミ式キノコ栽培マニュアル

 

ゼロエミ式キノコ栽培工程

 培地準備

培地に身近にある廃棄物(植物系有機廃棄物)を利用するのがゼロエミ式キノコ栽培です。家庭や会社からでるゴミや地域からでるゴミに注目して有効に活用しましょう。


培地選びの基本姿勢

とにかく使えそうなゴミ(植物系)を見つけたら試しましょう。これが基本です。植物由来の有機廃棄物ならゼロエミ式の栽培に使える可能性があります。簡単に費用もかからずできる栽培法なので、失敗を楽しみながら実験してください。絶対ダメだなと思った人参の皮からキノコがでてきた時は本当に嬉しかったです。正月に家族で食べたミカンの皮を集めておいて実験してみる、夏にカブトムシにあげていたスイカの皮を、カブトにあげないでキノコを栽培してみる(結果はわかりませんが)こんな感じで実験していくと思わぬお宝培地にめぐり合うかもしれません。その培地が新たな環境プロジェクトに発展する可能性だってあるのです。


培地選びの基準

通常の菌床栽培と違い、ゼロエミ式ではキノコが最高に生育できる栄養のある培地を与えればいいというものではありません。ゼロエミ式の菌糸培養は、高温殺菌で雑菌、バクテリアを全て排除してからキノコの菌糸のみ「おぼっちゃま培養」するのでなく、雑菌、バクテリアとともに培地上に存在しつつも、なぜかキノコの菌糸のみがでかい顔をしていつの間にか培地を占有してしまう「大家族家父長培養」です。 通常の菌床培地のような栄養価の高い培地を、高温殺菌しないでゼロエミ式で栽培すると、間違いなく、キノコの菌糸よりも生長が早く強い雑菌類が優勢してしまいます。キノコの菌糸に最高に栄養がある培地は雑菌類にはより最高の培地となってしまいます。 では、どんな培地が使えるのでしょうか?それは、キノコの菌糸が生育する栄養があり、かつ雑菌類はあまり生育しない培地、雑菌がこんな食事じゃ活動したくないなあと考えている間隙をついてキノコが伸びていける培地がゼロエミ式では最高の培地となります。

キノコ栽培方式の比較

原木栽培、菌床栽培、ゼロエミ栽培で、培地栄養とキノコの生長の関係を比較してみます。

    • 原木栽培

原木栽培はなぜ無殺菌でできるか?簡単にいえば木(材)自体に栄養が少ないからです。雑菌類はこんなものを食べるくらいなら他に食べ物を探しにいきます。くっついてもその場で活動せずに休んでいます。キノコにとっても栄養は少ないですが、自然界では栄養のある場所では、弱いキノコの菌では雑菌類とは勝負になりませんので、ひっそりと少ない栄養を少しづつ食べてゆっくりと生長しきのこを出します。ただ、原木を高温で殺菌し、一度、全部、雑菌類を排除してからキノコの菌を植え付けて栽培すると、となぜか雑菌が繁殖してしまうことが多いように感じます。自然は面白いです。

    • 菌床栽培

無殺菌ではできません。なぜなら殺菌しないと調整された培地(米ぬか等の栄養材添加)は栄養価が高く、キノコの菌糸よりも雑菌が繁殖し優勢してしまいます。栄養材入りの培地はキノコに最高の食事で菌糸の生長も早いですが、雑菌にはそれ以上に最高の食事となります。したがって、高温で雑菌類を死滅させてキノコの菌糸を植え付けキノコの菌糸のみ育てます。栄養があるので早くキノコもでます。収量も多いです。ただ、培養中に雑菌が混入すると目も当てられないことになります。

    • ゼロエミ式栽培

原木栽培と菌床栽培の中間(ちょっと菌床栽培より?)にあるのがゼロエミ栽培です。原木ほど栄養が少なくなく、菌床用ほどは栄養のない培地を使って、菌床ほど早くは菌糸は生長しませんが、原木のようには時間がかからずキノコがでます。ただ、ゼロエミ式の対象培地は膨大な種類がありますので、培地による差が非常に大きいです。


使える培地とは?

では、具体的にはどんな種類の廃棄物がゼロエミ式で使えるのでしょうか? まず、植物系であるということが大前提です。卵の殻とか魚の骨とかは厳しいと思います(実験したことないのですが…クラゲはあります。失敗しました…)。そして廃棄物であるということです。すなわち人間が普段食べない部分(または食べられるがあまり食べない)部分を培地として使用します。食べられるものはキノコなど作らずにそのまま食べましょう。 以下、ゼロエミ式で実験、または実験中のリストです。

 培地リスト
https://www.ciaojapan.org/baichi_list.html


判断基準

ゼロエミ式でキノコが発生した培地を成分分析などしたことはないので、経験から「これは使える」と自分が判断する基準を以下に記します。超大雑把に便宜上、培地候補となるものを3系統3部分に分けて考え、系統、部分別にポイント(得点)をつけ判断しています。

    • 区分分け

 

    • ポイントづけ

系統区分部分区分の表をもとに培地にポイントをつけゼロエミ式に適合する培地かどうか判断します。

 

トウモロコシは人間の主食なので系統ポイントは主食系3ポイントです。粒は普通に食べるので可食ポイント3、芯は食べる部分粒に直接接しているので半可食で2、茎や葉は不可食で0です。サヤはトウモロコシを直接包んでいますが、接している粒が乾いているので一応ここでは不可食の0としました(このへんは個人の感覚によります)。

頑張れば食べられるけど、ちょっと食べるのが厳しそうなものには可食ポイント1は、可食ポイント2はリンゴの皮やジャガイモの皮、おからなど、まあ食べるよといった部分につけます。


総合ポイントのつけ方&見方

まず使用したい培地の「系統ポイント」を割り出し、そのポイント数に従い、以下の各表「系統ポイントが3の培地」「系統ポイントが2の培地」「系統ポイントが1の培地」「系統ポイントが0の培地」を参照します。

次に使用したい培地の「可食ポイント」を割り出します。

そして、その割り出した「可食ポイント」に参照している表の「系統ポイント」を足したものが総ポイントになります。総ポイント数により、培地の良し悪しの判定を行います。

まだまだ実験数が少ないので今後変更の可能性があります。あくまで参考値と考えてください。また簡易的な栽培法のため、栽培結果は気象、培地状態、栽培テクニック等のによりばらつきがあります。雑菌汚染率、予想収量はあくまで目安です。培地の調整状況(培地の大きさ、水分率)栽培環境によって大きく違ってきます。

要は培地の炭素率、窒素率、物理的条件と栽培環境条件の兼ね合いで成功するか失敗するかが決まってくると思うのですが、感覚をつかんで判断するには「ポイント制」にした方がわかりやすかなと考えこんな感じにしてみました。ただ、まだまだわかりにくと思われるのでいい方法を思いついたら更新したいと考えています。

 培地総合ポイント表(一部抜粋)
あくまで感覚でつけたものです。こちらの リストも参照してください。


培地の混合

手間を惜しまなければ培地は混合してもかまいません。水分調整が楽になったり、収量がUPする可能性もあります。ただし、収量を追い求め、コストがあがったり、混合に要する時間、手間が増えたり、攪拌機を動かすエネルギーを使ってしまったりすると本末転倒になる可能性アリです。

    • 基材の混合

      ■トウモロコシの芯+トウモロコシの茎葉
      ■ジャガイモの皮+ニンジンの皮 etc

 

  • 石灰水に栄養材を混合

    石灰水浸水工程時に使用する石灰水に栄養材を混合することも可能と思われます。

    ■石灰水+米のとぎ汁
    ■石灰水+うどん汁
    ■石灰水+フスマ
    ■石灰水+米ヌカetc

  • 水分調整(加水)した後、消石灰、栄養材を混合

    浸水させると水を含み過ぎてしまう培地、水が切れにくい培地には、適度に加水した後に消石灰の混合、加えて栄養材を混合しても可能と思われます。ただし、種菌は多目に入れた方がいいと思われます。材料を乾燥させるなどの工夫も必要なものもあります。

    ■果物の皮+石灰
    ■野菜・根菜の皮+石灰
    ■果物の皮(乾燥)+加水+石灰
    ■果物の皮(乾燥)+加水+石灰+米ヌカetc


培地(粒)の大きさ

基本は廃棄されたままの状態(大きさ、形)で使います。ただ、培地形状のために栽培しにくかったり、水分調整がうまくいかない場合は粉砕、カット等を行います。粉砕カットに必要なコスト、エネルギー労力と収量のバランスを考えて柔軟に対応してください。ただし、細かくすると水が切りにくくなる場合があります。これもトータルバランスをよく考え対応です。

【例】とうもろこしの茎葉を粉砕

◎大きくてて袋に入らない → 粉砕、カット トウモロコシの芯
×収量UPのため粉砕 → 労力UP水切り作業UP


作業効率と収量

培地の大きさ形は収量と作業効率の面から非常に重要なファクターとなります。なぜならゼロエミ式では殺菌工程として浸水式(培地浸水→水切り)を採用しているので、培地の大きさにより水の切れ方が大きく異なってきます。(もちろん培地の質によっても変わります)細かい粒のものは水はけが悪く、大きい粒は水はけがよいです。

水の切れ方が悪いと、培地内の通気が悪くなり、きのこの菌糸の生長が悪くなります。またバクテリアなどが繁殖しやすくなるようです。そのため、水切機などでしっかりと水を切ってから種菌を植え付けなければいけません。一方、粒が大きいと培地の全表面積が減り、それに比例してキノコの菌糸量が減って収量が落ちてしまいます。

要するに水が切れやすく(水きり機などを使わないで水が切れる)かつ最適な通気量を保てる培地がゼロエミ式での理想の培地になります。

    • とりあえず、そのまま使ってみる!

しかし、なかなかそんな都合のいい培地には巡りあえません。

自分のお気に入りはコーヒーの赤い果肉、トウモロコシの芯(そのまま)、豆のサヤです。この3つは収量もまあまあよく、かつ、水切りは吊るしておくだけでOKです。労力がかかりません。日本ではコーヒー粕がお気に入りです。水切り作業は大変な作業(特に水きり機がない場合)なのでできればしたくないです。

まずは廃棄されたままの状態で使ってみましょう。ダメなら対応するだけです。考え工夫しましょう。応用力がゼロエミ式に最も必要とされる能力です。

色々、試しながら経験を積んでいってください。

  • 培地の粒が大きい場合

      1. 粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果よい→OK
      1. 粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れる→結果がよい→OK
      1. 粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がきれなくなった→水切り作業→結果がよい→OK
      1. 粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れる→結果が悪い→原因探求orあきらめる
      1. 粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れなくなった→水切り作業→結果が悪い→原因探求orあきらめる

    培地の粒が小さい場合も同様です。こんな感じで試行錯誤していってください。


培地量

扱う培地量はお好みです。培地の入手状況、培地の形、使用容器、栽培規模などに合わせて決めてください。自分は実験がメインですので、中がよく見える透明のビニール袋に1キロ詰めにしています。栽培目的なら廃品、または使いまわしのきく容器を使いたいです。 培地量が多ければキノコもいっぱいでてきます。ただ、失敗した時、無駄も多くなります。培地が少ないと失敗してもダメージすくないですが、でてくるキノコも少ないですし、培地詰めの作業も増えます。扱いやすいのは500グラムから3キロくらいまでだとおもいます。


培地の使い方(まとめ)

そのまま使おう!

廃棄物は様々な形で排出されてきます。たとえばジャガイモの皮にしても、家庭ではお母さんが手でむいてヒョロヒョロと細長い皮の状態でゴミとなりますが、大きなレストランや工場なら専用のジャガイモ剥き機を使用しているので、もっと細かい皮の粒になって排出されてきます。同じジャガイモの皮ですが状態(大きさ)が違い、栽培した時の結果も変わってきます。

基本的には培地は、細かい方(微細はダメ)がいいです。ただ、細かくすればキノコがよく出るからといって、何時間もかけて潰したり、刻んだりするのは結構大変です。そのあたりの匙加減は各人で工夫してください。まずは排出されたままの形で試してみて、結果を見てから柔軟に対応することです。

水を切れ!

ゼロエミ式では培地は石灰浸水工程→水切りという工程で培地は処理され、種菌が植え付けられます。この水切りの工程が非常に大切です。あまりにも培地に水が残ってぐちゃぐちゃだとキノコは生長できません。もちろん乾きすぎもダメです。キノコが一番生長しやすい水分率にいかに近づけるかが成功のカギのにとつです。

つまり廃棄物の形によって水の切り方をかえなければいけません。先のジャガイモではお母さんのジャガイモ皮は水きり機や手でがんばって絞らなくても、吊るしておけば 水がさっと切れていい状態になると思います。一方、ジャガイモ剥き機の皮は粒が細かいため、吊るしておいても水はなかなか切れなくていつまでも ぐちゃぐちゃです。こんな状態でキノコの菌を植えてもなかなか生長してくれません。なんとか水を絞りだしてやらなければいけません。それが無理そうならただ単に石灰を混ぜるという方法を試してもいいかもしれません。

経験を積めば感覚でわかってきます。ゼロエミ式は非常にアナログな栽培方法です。計算どおりにはいきません。アナログは難しいです。でも楽しいです。色々、工夫する余地がいっぱいあります。


培地が用意できたら以下のページへ。

 ゼロエミ式キノコ栽培マニュアル(抑菌・殺菌)

Posted by inkinken