ゼロエミ式キノコ栽培マニュアル
ゼロエミ式キノコ栽培工程
培養
接種作業が終了したら、培養します。基本的なゼロエミ式で扱うキノコの培養条件はきのこ種菌の会社のサイトなどが詳しいです。
培養管理条件
培養期間
培地量や培地組成、栽培容器の種類、栽培条件(温度、湿度)により大きく変わります。通常1ヶ月から2ヶ月半程度で培養は完了します。
培養場所
ベストは暗黒下。または暗い所。部屋の隅やベランダの隅でも十分です。ただ直射日光や直接雨が当たるところは避けてください。多少、通気のよい静かな場所で培養しましょう。
培養施設
部屋の片隅やベランダ、また専用の培養室、培養箱をつくってもよいです。このページで説明している条件になるべく近い環境を整えてください。
温度
10度から28度以内くらいでしょうか。ベストは15度から22度の間だと思いますが、ゼロエミ式は空調設備のあるところでの培養を考えていませんので、冬場は室内、夏場は長時間30度以上にしない(もうちょっと暑くてもたえられそうですが)または34~5度を超えないようなところを見つけて培養してください。寒すぎても暑すぎても菌糸の伸びは悪いです。寒すぎるのは菌糸が伸びないだけで、ただ培養期間が長くなるだけなのですが、あまり暑いと菌糸が死にます。またコンタミしやすいです。しかし、そんなに高温を恐れることもないと思います。まだ高温が原因で殺した経験はないので、なんともいえないのですが、2007年夏近畿の耐えがたき暑さを耐え切り、昼間は35度を超える室内で培養しておりましが秋にはキノコが出てきました。6月始めに接種だったので、培養がそれまでに完了していたため暑さに耐えられたということだとは思いますが。いずれにしても、夏場はなるべく涼しい場所で培養しましょう。あまり暑いのはいかにタフなヒマラヤヒラタケでもよくないようです。ウスヒラタケはヒマラヤヒラタケより暑さには若干強いようですが、やはり暑い時の培養は難しいです。特に初期培養時はコンタミしやすいと思います。
工夫1 プール培養
日陰でも35度以上ある場合は衣装ケースなどに水を入れてその中に栽培容器を沈めましょう。日陰では水温はいっても30度くらいだと思います。プール培養と名づけています。
工夫2 トンネル培養
手間がかかりますが穴を掘るという方法もあります。トンネル培養です。土のトンネル内は涼しく比較的温度が一定です。
湿度
70パーセン前後がベストだと思います。栽培容器は密閉していませんので、あまり湿度の低い場所ですと培地の湿度が下がって菌糸が伸びにくくなってしまいます。特に、小穴換気方式だと培地がかなり乾燥します。乾燥気味な場所でしか培養できないようでしたら、キャップ方式の方がいいと思います。発生時は湿度はとても重要ですが、培養時はそんなに神経質にならなくてもよいです。培地は一応容器に入れてあるのである程度は湿度を保ち続けられます。失敗したら工夫して対応する。これでいいと思います。
湿度が多い
風通しをよくする。
湿度が少ない
容器のまわりに湿らせたタオル、新聞、テッシュ等を置く(画像は発生時のもの)。
栽培棚を網棚にし下に水をため水草を入れた容器を置いたり、植木鉢の上に置いたりします。
(参考) 温度、湿度は慣れれば体感でだいたいわかるようになりますが、温室時計を購入すると便利です。デジタルで数字がみれて便利です。数字をチェックするのが楽しみにもなります。その他、もっと簡易のもあるのでひとつあると便利です。
培養完了の見分け方
一体、いつ培養が完了してキノコが発生するのでしょうか?
これはなかなか難しいです。研究機関で色々と実験して結果もでていますが、それらの研究機関と同じ条件で栽培できるわけがないのでゼロエミ式には意味がありません。とりあえず培地に菌糸が容器全体に蔓延して真っ白になるのを待ってください。
ただ、ゼロエミ式培地は水切り加減によって培地が多湿気味になることも多いので、容器の下の部分だけ菌糸が伸びていかないこともあります。
伸びきらなくても、菌糸が蔓延した場所からだけキノコが発生することも多いので、臨機応変に発生作業への移行時期を判断してください。 培地を取り出し、菌糸のまわっていない部分を削ってから発生させるのもアリです。
蔓延後、10日から30日間待ちます。その間にキノコが発生してきたらそれでOKです。もし、キノコが発生してこないようでしたら、人工的に発生させます。詳細は発生工程に説明しております。
雑菌、バクテリア
経験を積んで、感覚をつかんでくるとコンタミ率は格段に下がってきます。これは成功するな、これは失敗しそうだなと感じることができるようになります。だた工場的生産方法ではないゼロエミ式キノコ栽培では成功率100%にすることは難しいです。失敗から学んでいくことが成功率を上げることにつながります。
害虫対策など
自然栽培下で行うことの多いゼロエミ式では、この戦いは大きなテーマです。薬品、電気を使わないで防除するには頭を使うしかありません。先人たちの工夫を取り入れ被害を最小限に抑えるよう努力します。被害が甚大になると何か「調和」が狂ってるんではないかなどど哲学的に考えてしまったりもしますが、「販売」をする場合には非常にやっかいな問題です。
ネズミ被害
コロンビアでは種菌培地に小麦大麦を使用していたので、それを狙ったと思われるネズミの被害がひどかったです。
対策としては棚を吊り下げ方式にするか、
栽培容器を吊り下げるか、
ネズミ返しの設置等が考えられます。種菌に殻粒を使用しなければ問題ないようにも思いますが実証はしていません。
ハエ被害
キノコバエだかショウジョウバエだかわかりませんが、これが一番やっかいかもしれません。目障りだし不潔っぽくみえます。
対策としては、とにかく栽培室を清潔に保つ、適度な通気、ゴミや腐ったキノコの芽などを放置しない、そして発生した場合にはハエトリテープやハエ取り機を設置することです。
食虫植物やカエルやクモに頑張ってもらうという方法もありますが気やすめ程度の効果でした。
日本なら文明の利器でアースノーマットがキノコバエには効果があるように感じています。
キノコムシ?被害
コロンビアではこの虫が結構、キノコを食べにきていました。
ナメクジ被害
ナメクジは大食漢。10円玉を置くといいときいたのですが、コロンビアには10円玉はありませんでした。