ゼロエミ式キノコ栽培マニュアル

キノコ種菌の作り方

菌糸入手

種菌を自家生産する上で問題なのはどう菌糸を入手するかです。菌糸さえ手に入れば多少の技術と経験が必要ですが、種菌をつくることはそう難しいことではありません。菌糸をゲットするには4つの方法があります


購入種菌から入手

一番簡単で手っ取りばやく、確実な方法です。購入した種菌から菌糸を頂く行為です。購入した種菌ボトルの中には菌糸がいっぱいなので購入した時点でもう菌糸はゲットされています。その菌糸を別の培地に移して拡大培養します。販売されている種菌は雑菌のいない純粋かつ優秀な系統の菌を使用していますので菌のポテンシャルも問題ないです。

(注)日本国内でこの行為は犯罪行為になる場合があります。以下のページで確認してください。

きのこの種苗法について

キノコ(子実体)から入手

山から採ってきた野生のキノコ、またスーパーで売っているキノコから菌糸をゲットする方法です。キノコの組織(肉?身?)を培養すると菌糸(コピー菌糸です。組織を分離したキノコと同じ遺伝子の菌糸)が伸びてきますので、その菌糸をふやして種菌にします。

軸の太いキノコなら内部は雑菌に侵されていないので、軸を二つに裂いて内部の組織を切りだして分離すると成功率は高いです。小さいキノコや細いキノコ、また水分の多いキノコはきれいな部分が少ないので少し難しくなります。

野生のキノコは遺伝的に優秀(キノコがよくでて、成長が早い)かどうかわからないので、栽培するのには若干不安があるのですが、自分で採ってきたキノコを使って種菌をつくって栽培してキノコが出てくると満足度はかなり高いです。趣味でやる分には最高の方法かもしれません。野生ではゼロエミ式で利用しているヒマラヤヒラタケはあまりみかけませんが、ウスヒラタケは結構みかけます。見つけたら菌の分離にチャレンジして見てください。

一方、スーパーで売っているキノコは優秀な系統の種菌からつくられたキノコだと思いますので、ここから菌糸をとれればいい優秀な遺伝子を持った種菌が生産できます。つまり優秀な親のコピーをとるわけです。(あまりスーパーでヒマラヤ、ウスヒラタケは売っていません…最近はヒラタケさえも見かけません…)

(注意)スーパーのキノコから菌糸をとって種菌にする行為は法律違反ではないようです。農水省に電話して確認しました。ただ、電話応対してくれた方も若干曖昧な回答だったのですが。自分で使用する程度なら問題はないと思います。

(追記) その後、メールにて回答をもらいましたがいまいち理解できませんでした…上記リンクに経緯があります。確認してください。スーパーのキノコからも違反かもしれません。

基材から

キノコが発生している場所(主に材)から菌を分離して菌糸をゲットする方法です。小さいく細いキノコなどは清潔な組織を切り出すことが難しいので、キノコが生えている材の内部に蔓延している菌糸から分離することもできます。

キノコの生えている材を割ります。
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白いところが菌糸です(画像ではイマイチわかりませんが…)。クワガタの幼虫のいる部分はダメです。
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外気に触れていない菌糸のまわった欠片を持ち帰って菌を分離します。
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胞子から

胞子から発芽させてもキノコの菌糸はとれます。胞子とはキノコの種(子供)ですから、それを発芽させれば菌糸が伸びでくるので、その菌糸をふやして種菌にします。

ただ、他の方法に比べると手間もかかりますし難しいです。特に野生キノコの場合は生育環境上、色々な雑菌が多く付着しているので、キノコの菌糸だけでなく、雑菌も一緒に成長してきてしまい失敗することが多いです。

スーパーのキノコの場合、比較的きれいで成功の確率は野生きのこよりは高いです。ただ、胞子は簡単に言えばキノコの子供で、親(胞子とったキノコ)とは遺伝子が違います。この点が「キノコ(子実体)から」の方法と大きく違うところです。選抜された優秀な親と違い、ダメな子供できてしまう可能性もあるのです。

キノコには無数の胞子がありますので、無数の子供(遺伝子の違う)がつくれます。それらの子供のなかから優秀な親になれる系統の菌を選抜することもできます。この胞子の組み合わせによって色々な系統を作出し、そこから優秀な系統だけ選抜し、栽培実験を重ね登録種菌とする方法があります。もの凄い手間と時間と根気のいる作業です。


菌の入手に目途がついたら以下のページを参考に菌を培養します

菌を培養する