菌床栽培

温泉熱を利用した菌床きくらげ栽培

因州しかの菌づくり研究所では2020年より温泉熱を利用したきくらげ栽培を農福連携事業として開始し、一年通して生産しています。

きのこの菌床栽培とは

菌床栽培は、おがくず等の基材となる材料に米ぬかやフスマなどの栄養分を混ぜて固めた「菌床」を高温殺菌してから、きのこの種菌を植え付けて栽培します。湿度や温度を管理できる室内やビニールハウスで行うことが多く、原木栽培よりも短期間で収穫でき収量も良いですが設備導入によるコスト負担と殺菌、冷房加温による環境負荷の高い栽培方法です。

菌床栽培の基本工程(一般的な椎茸)

工程 内容
培地製造 おが粉・米ぬかなどを混合し、水分調整して菌床原料を作成
袋詰め 菌床原料を栽培袋に充填(1〜3kg程度)
殺菌 高温蒸気で滅菌し、雑菌を除去
冷却 菌床を20℃以下に冷却し、接種準備
接種 クリーンルームで種菌を植え付け(無菌操作)
培養 温度・湿度を管理し、菌糸を菌床全体に蔓延させる(約90日)
発生操作 袋を除去し、温度・湿度・光を調整してきのこを発芽させる
収穫 発芽から約7〜10日で収穫。複数回収穫可能
加工・出荷 選別・包装し、取引先に応じた形で出荷

菌床栽培のメリット

項目 内容
収穫までが早い 数週間〜4ヶ月で収穫可能。原木栽培に比べてサイクルが短い
通年栽培が可能 室内管理のため季節に左右されず安定供給できる
品種の幅が広い 原木では難しい品種も栽培可能
労働負荷が軽い 軽作業中心で高齢者や障がい者でも対応しやすい
小規模スタート可能 コンテナや倉庫で少量から始められる
衛生管理がしやすい 害虫や病菌を抑えやすく、品質が安定
補助金との相性が良い 設備投資に対する公的支援が豊富で利用しやすい

菌床栽培のデメリット

項目 内容
初期投資が必要 設備導入に数百〜数千万円かかる場合もある
光熱費がかかる 空調・加湿に継続的な電気や水道代が発生
香りや風味が劣る場合 原木栽培と比べて、香りや旨味が弱い品種もある
品質管理が重要 温度・湿度・CO₂濃度などの細かい管理が必要
廃菌床の処理が必要 栽培後の菌床の処分・再利用方法を確保する必要あり

一般菌床椎茸栽培と原木露地椎茸栽培の違い

項目 菌床栽培 原木栽培
栽培方法 おがくず+栄養材を固めた菌床に種菌を植える 広葉樹の原木に穴を開けて種菌を植える
栽培環境 屋内(温度・湿度・CO₂管理) 屋外(林内や露地)
収穫までの期間 約3〜4ヶ月 約1〜2年
収穫回数 通年栽培可能(複数回収穫) 春・秋の年2回
味・香り クセが少なく食べやすい 風味が強く香り豊か
形状・見た目 均一で揃いやすい 自然な形で個体差あり
設備投資 空調・殺菌設備などが必要(補助金活用可) 設備は少ないが土地や人手が必要
収益性 安定供給・短期回収が可能 希少価値が高く高単価だが収益化に時間がかかる
社会性 福祉・雇用・地域活性化と連携しやすい 森林保全や循環型農業に貢献

菌床栽培の始め方

菌床栽培は、設備を整えたうえでマニュアルに従って作業を進めれば、誰でも取り組むことができるきのこの栽培方法です。そのため、異業種からの参入が多く、農業経験がない方でも始めやすい分野といえます。原木栽培に比べて作業の負担が軽く、施設内で管理できるため高齢者や福祉事業とも相性が良好です。さらに、事業開始時に補助金を活用しやすい点も、多くの事業者が菌床栽培を選ぶ理由のひとつです。ただし、菌床を自社で製造するか外部から購入するかによって、初期コストは大きく変動します。自社製造の場合は設備投資が必要になりますが、原価を抑えて高収益を狙うことが可能です。一方、購入型は設備を簡素化できる分、菌床の仕入れコストが継続的にかかります。収益目的なら原木栽培より菌床栽培です。


異業種参入例

- 福祉事業者:障がい者の就労支援として菌床栽培を導入
- 物流・建設業:空き施設や人材を活用し、菌床栽培で新規事業を展開
- 食品・外食業界:自社で栽培し、ブランド価値や供給安定性を強化
異業種が菌床栽培に参入する理由
理由 詳細
設備投資を比較的抑えることもできる 既存倉庫や空き施設の再活用も可能で、初期コストを抑えられる
軽作業で人材確保がしやすい 高齢者や障がい者の就労支援と相性が良く、福祉事業と組みやすい
安定した収益が見込める 気候に左右されず通年栽培が可能で、収穫サイクルも短い
遊休資源を有効活用できる 人材・土地・施設の余剰活用により、既存資産を有効に使える
既存事業との相乗効果を見込める 食品・物流・外食産業などと連携し、販路・ブランド強化が可能
社会貢献性が高い 地域活性化や雇用創出につながり、CSR活動として評価されやすい
まあ、表ほど簡単なことではないですが、 そして何より補助金が使えることが大きいです。菌床栽培は設備投資が必要な分、補助金を活用して始める事業者が非常に多いです。特に近年は、農業の効率化や地域活性化、福祉連携などの観点から、国や自治体が積極的に支援しており、設備費の半分以上を補助金でまかなっているケースも多く、初期投資のハードルを大きく下げています。特に福祉、建設業からの参入が多いイメージです。
補助金名 概要 補助率・上限
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 中小企業の設備投資や事業転換を支援 最大2,000万円、補助率1/2〜2/3
農業次世代人材投資資金(経営開始型) 新規就農者に対して生活費を助成 年間最大150万円、最長5年間
強い農業・担い手づくり総合支援交付金 地域の担い手育成や農業施設整備などを支援 事業内容に応じて変動(数百万円規模)
地方自治体の独自補助金 空き施設活用、雇用創出など地域密着型支援 自治体により金額・条件が異なる
福祉就労施設支援補助金 就労継続支援A型・B型事業所の設備導入支援 施設整備費の一部を助成(数十〜数百万円)

菌床栽培事業モデル別

モデル①:菌床購入型(小規模スタート)

初期投資(補助金活用)

  • 栽培ハウス(40フィートコンテナ約800菌床収納、20フィートは約400個):約1,000万円 → 補助金で最大2/3支援
  • 空調・加湿設備:150万円 → 補助金対象
  • 合計:1,150万円 → 自己負担約380万円

年間収益シミュレーション

  • 菌床購入数:年間回転数や一回の搬入可能個数から購入菌床数を決める
  • 各単価:菌床価格約400円(完熟度合等で価格は違う)販売価格はどのきのこも1kgあたり1000円(上出来レベル)で計算
  • 年間利益:(菌床個数×1000円)-(人件費・光熱費等)=?円
  • 菌床購入価格や販売価格等で大きく変わるので各自に合わせて試算

補助金で初期費用を抑え、菌床は外部から仕入れることでリスク軽減


モデル②:菌床製造型(中〜大規模)

初期投資(補助金活用)

  • 菌床製造設備:5,000〜6,000万円 → ものづくり補助金などで最大2,000万円支援
  • 栽培施設:1,500〜2,000万円 → 地方自治体補助金併用可

年間収益シミュレーション

  • 菌床自社製造により原価を大幅削減
  • 出荷量増加により年間売上を伸ばす
  • 廃菌床の活用法検討、労働力確保問題

菌床製造まで内製化することで利益率が向上し、補助金で設備費を圧縮


モデル③:レンタル型(きくらげ栽培など)

初期投資(節税+補助金)

  • コンテナ栽培設備:800万円 → 減価償却+補助金で最大90%損金計上
  • FC加盟料・菌床費用なども経費化可能

年間収益シミュレーション

  • きくらげ販売:150〜400円/100g !年間利益300万円!と謳うとこもありますがそうは簡単ではないです
  • 設備レンタル収入という方法も
  • 3年後に設備売却で投資額の約50%回収も可能
菌床きのこ栽培は詐欺案件も多いので注意

総論

いずれにしても菌床栽培は作るの簡単、売るの大変です。売る以外にメリットを見いだせる事業者にはいいかもしれません。やり方次第ですが原木栽培よりは確実に儲かる確率は高いです。料理の際の使いやすさは別として、きのこ本来の味は原木栽培(使う種類・品種によりけりですが)よりかなり落ちるので、美味しいもの作りたい人には向いていません。

因菌研がおススメする菌床栽培方法

家庭で圧力鍋やドラム缶を使って菌床栽培することもできますが、殺菌工程や無菌作業がまあまあ大変であまりオススメはできません。

コンテナ系栽培+地域エネルギー活用型(太陽光など)

自立支援的活用

栽培品種はキクラゲ(味が原木栽培とそんなには変わらない)