ゼロエミ式きのこ栽培

そば殻を使ったゼロエミ式きのこ栽培例

1999年にコロンビアの国際有機農業センターの同僚達と苦労しながら確立したきのこ栽培技術です。簡単にするのは案外簡単でなかったいい思い出です。培地材料を消石灰に漬けて抑菌し種菌を入れるだけ。誰でもどこでもできる最も簡単なきのこ栽培方法です。

ゼロエミ式きのこ栽培マニュアル

ゼロエミ式きのこ栽培技術開発

ゼロエミ式きのこ栽培基本例

ゼロエミ式キノコ栽培の基本は培地を石灰水処理するところにあります。通常の菌床栽培の熱殺菌工程がこの石灰水処理に変ります。色々なやり方がありますが、以下にバナナの皮を利用した栽培の一例を紹介します。

1.培地準備

バナナきのこ

今回は乾燥させたバナナの皮を使用します。

2.容器準備

バナナキノコ

ペットボトルを栽培容器として使用します。

3.詰め込み

バナナきのこ

ペットボトルをカットして培地(バナナの皮)を入れます。

4.抑菌処理

バナナきのこ

石灰水を注ぎます。(水1㍑に消石灰2~3グラムくらい)

5.浸水

バナナきのこ

培地を完全に浸水させて、ビニールと輪ゴムで密封します。これで3日程度放置します。

6.水切り

バナナきのこ

浸水が終わったら、下のキャップを取って水を抜きます。

7.植菌

バナナきのこ

ビニールをとって種菌を入れます。

8.培養

バナナきのこ

再びビニールをかぶせて培養します。

9.芽出し

バナナきのこ

培養がうまくいけば、培地により違いますが1~2か月とする芽が出てきます。これはビニール取るタイミングが遅かったです。

10.発生

バナナキノコ

気温、湿度を適正に保てば成長します。培地量が少ないのでこの程度です。

培地準備→石灰水処理→容器詰め→接種→培養→発生

ゼロエミ式の基本工程を踏まえながら、自分の環境や条件、考え方に合わせた栽培技術を開発・導入し、自分に合った栽培スタイルを確立していくことが重要です。

ただし、ゼロエミ式は非常にアナログな方法であり、すべての技術や方法をマニュアルに網羅することは難しく、また絶対に正しいマニュアルなどは存在しませんので、それぞれの栽培者が自身の状況に応じて独自の技術や方法論を築き上げていく必要があります。もちろん、他者の技術や経験(ここでは私自身が実験してきたもの)から学び、参考にできる部分も多くあると思いますので、それらを活かしながら栽培スタイルの設計に役立ててください。

その参考として、栽培工程ごとに私の経験や考え方、実験例を画像付きで紹介していますので、そこからヒントとなるものを自由に拾って活用してください。ただし、内容は網羅的に散文的に記載しているため読みにくい部分もあるかもしれませんが、少しずつ手直しを重ねていく予定です。また多少キノコ栽培の基礎知識がないと理解しづらい箇所もあるかと思いますので、もし質問や疑問がありましたらどうぞ気軽にメールにてご連絡ください。

栽培実践例にはこれまでの実践や実験を画像とともに公開していく予定ですので、そちらもぜひ参考にしてください。なお、このマニュアルは、ゼロエミ式栽培において最もマッチした品種「ヒマラヤヒラタケ」を対象に作成しています。

ゼロエミ式きのこ栽培工程

培地準備

培地準備

培地に身近にある廃棄物(植物系有機廃棄物)を利用するのがゼロエミ式キノコ栽培です。家庭や会社や地域からでるいらないものに注目して有効に活用しましょう。

培地選びの基本姿勢

とにかく使えそうな廃棄物(植物系)を見つけたら試しましょう。これが基本です。植物由来の有機廃棄物ならゼロエミ式の栽培に使える可能性があります。簡単に費用もかからずできる栽培法なので、失敗を楽しみながら実験してください。絶対ダメだなと思った人参の皮からキノコがでてきた時は本当に嬉しかったです。正月に家族で食べたミカンの皮を集めておいて実験してみる、夏にカブトムシにあげていたスイカの皮を、カブトにあげないでキノコを栽培してみる(結果はわかりませんが)こんな感じで実験していくと思わぬお宝培地にめぐり合うかもしれません。その培地が新たな環境プロジェクトに発展する可能性だってあるのです。

培地選びの基準

通常の菌床栽培と違い、ゼロエミ式ではキノコが最高に生育できる栄養のある培地を与えればいいというものではありません。ゼロエミ式の菌糸培養は、高温殺菌で雑菌、バクテリアを全て排除してからキノコの菌糸のみ「おぼっちゃま培養」するのでなく、雑菌、バクテリアとともに培地上に存在しつつも、なぜかキノコの菌糸のみがでかい顔をしていつの間にか培地を占有してしまう「大家族家父長培養」です。 通常の菌床培地のような栄養価の高い培地を、高温殺菌しないでゼロエミ式で栽培すると、間違いなく、キノコの菌糸よりも生長が早く強い雑菌類が優勢してしまいます。キノコの菌糸に最高に栄養がある培地は雑菌類にはより最高の培地となってしまいます。 では、どんな培地が使えるのでしょうか?それは、キノコの菌糸が生育する栄養があり、かつ雑菌類はあまり生育しない培地、雑菌がこんな食事じゃ活動したくないなあと考えている間隙をついてキノコが伸びていける培地がゼロエミ式では最高の培地となります。

キノコ栽培方式の比較

原木栽培、菌床栽培、ゼロエミ栽培で、培地栄養とキノコの生長の関係を比較してみます。

原木栽培

原木栽培はなぜ無殺菌でできるか?簡単にいえば木(材)自体に栄養が少ないからです。雑菌類はこんなものを食べるくらいなら他に食べ物を探しにいきます。くっついてもその場で活動せずに休んでいます。キノコにとっても栄養は少ないですが、自然界では栄養のある場所では、弱いキノコの菌では雑菌類とは勝負になりませんので、ひっそりと少ない栄養を少しづつ食べてゆっくりと生長しきのこを出します。ただ、原木を高温で殺菌し、一度、全部、雑菌類を排除してからキノコの菌を植え付けて栽培すると、となぜか雑菌が繁殖してしまうことが多いように感じます。自然は面白いです。

菌床栽培

無殺菌ではできません。なぜなら殺菌しないと調整された培地(米ぬか等の栄養材添加)は栄養価が高く、キノコの菌糸よりも雑菌が繁殖し優勢してしまいます。栄養材入りの培地はキノコに最高の食事で菌糸の生長も早いですが、雑菌にはそれ以上に最高の食事となります。したがって、高温で雑菌類を死滅させてキノコの菌糸を植え付けキノコの菌糸のみ育てます。栄養があるので早くキノコもでます。収量も多いです。ただ、培養中に雑菌が混入すると目も当てられないことになります。

ゼロエミ式栽培

原木栽培と菌床栽培の中間(ちょっと菌床栽培より?)にあるのがゼロエミ栽培です。原木ほど栄養が少なくなく、菌床用ほどは栄養のない培地を使って、菌床ほど早くは菌糸は生長しませんが、原木のようには時間がかからずキノコがでます。ただ、ゼロエミ式の対象培地は膨大な種類がありますので、培地による差が非常に大きいです。

使える培地とは?

では、具体的にはどんな種類の廃棄物がゼロエミ式で使えるのでしょうか? まず、植物系であるということが大前提です。卵の殻とか魚の骨とかは厳しいと思います(実験したことないのですが…クラゲはあります。失敗しました…)。そして廃棄物であるということです。すなわち人間が普段食べない部分(または食べられるがあまり食べない)部分を培地として使用します。食べられるものはキノコなど作らずにそのまま食べましょう。 

判断基準

ゼロエミ式でキノコが発生した培地を成分分析などしたことはないので、経験から「これは使える」と自分が判断する基準を以下に記します。超大雑把に便宜上、培地候補となるものを3系統3部分に分けて考え、系統、部分別にポイント(得点)をつけ判断しています。

区分け

ポイントづけ

系統区分部分区分の表をもとに培地にポイントをつけゼロエミ式に適合する培地かどうか判断します。

トウモロコシは人間の主食なので系統ポイントは主食系3ポイントです。粒は普通に食べるので可食ポイント3、芯は食べる部分粒に直接接しているので半可食で2、茎や葉は不可食で0です。サヤはトウモロコシを直接包んでいますが、接している粒が乾いているので一応ここでは不可食の0としました(このへんは個人の感覚によります)。

頑張れば食べられるけど、ちょっと食べるのが厳しそうなものには可食ポイント1は、可食ポイント2はリンゴの皮やジャガイモの皮、おからなど、まあ食べるよといった部分につけます。

総合ポイントのつけ方&見方

まず使用したい培地の「系統ポイント」を割り出し、そのポイント数に従い、以下の各表「系統ポイントが3の培地」「系統ポイントが2の培地」「系統ポイントが1の培地」「系統ポイントが0の培地」を参照します。

次に使用したい培地の「可食ポイント」を割り出します。

そして、その割り出した「可食ポイント」に参照している表の「系統ポイント」を足したものが総ポイントになります。総ポイント数により、培地の良し悪しの判定を行います。

まだまだ実験数が少ないので今後変更の可能性があります。あくまで参考値と考えてください。また簡易的な栽培法のため、栽培結果は気象、培地状態、栽培テクニック等のによりばらつきがあります。雑菌汚染率、予想収量はあくまで目安です。培地の調整状況(培地の大きさ、水分率)栽培環境によって大きく違ってきます。

要は培地の炭素率、窒素率、物理的条件と栽培環境条件の兼ね合いで成功するか失敗するかが決まってくると思うのですが、感覚をつかんで判断するには「ポイント制」にした方がわかりやすかなと考えこんな感じにしてみました。ただ、まだまだわかりにくと思われるのでいい方法を思いついたら更新したいと考えています。

あくまで感覚でつけたものです。

培地の混合

手間を惜しまなければ培地は混合してもかまいません。水分調整が楽になったり、収量がUPする可能性もあります。ただし、収量を追い求め、コストがあがったり、混合に要する時間、手間が増えたり、攪拌機を動かすエネルギーを使ってしまったりすると本末転倒になる可能性アリです。

基材の混合

トウモロコシの芯+トウモロコシの茎葉
ジャガイモの皮+ニンジンの皮 etc

石灰水に栄養材を混合

石灰水浸水工程時に使用する石灰水に栄養材を混合することも可能と思われます。

石灰水+米のとぎ汁
石灰水+うどん汁
石灰水+フスマ
石灰水+米ヌカetc

水分調整(加水)した後、消石灰、栄養材を混合

浸水させると水を含み過ぎてしまう培地、水が切れにくい培地には、適度に加水した後に消石灰の混合、加えて栄養材を混合しても可能と思われます。ただし、種菌は多目に入れた方がいいと思われます。材料を乾燥させるなどの工夫も必要なものもあります。

果物の皮+石灰
野菜・根菜の皮+石灰
果物の皮(乾燥)+加水+石灰
果物の皮(乾燥)+加水+石灰+米ヌカetc

培地(粒)の大きさ

基本は廃棄されたままの状態(大きさ、形)で使います。ただ、培地形状のために栽培しにくかったり、水分調整がうまくいかない場合は粉砕、カット等を行います。粉砕カットに必要なコスト、エネルギー労力と収量のバランスを考えて柔軟に対応してください。ただし、細かくすると水が切りにくくなる場合があります。これもトータルバランスをよく考え対応です。

【例】とうもろこしの茎葉を粉砕

◎大きくてて袋に入らない → 粉砕、カット トウモロコシの芯
×収量UPのため粉砕 → 労力UP水切り作業UP

作業効率と収量

培地の大きさ形は収量と作業効率の面から非常に重要なファクターとなります。なぜならゼロエミ式では殺菌工程として浸水式(培地浸水→水切り)を採用しているので、培地の大きさにより水の切れ方が大きく異なってきます。(もちろん培地の質によっても変わります)細かい粒のものは水はけが悪く、大きい粒は水はけがよいです。

水の切れ方が悪いと、培地内の通気が悪くなり、きのこの菌糸の生長が悪くなります。またバクテリアなどが繁殖しやすくなるようです。そのため、水切機などでしっかりと水を切ってから種菌を植え付けなければいけません。一方、粒が大きいと培地の全表面積が減り、それに比例してキノコの菌糸量が減って収量が落ちてしまいます。

要するに水が切れやすく(水きり機などを使わないで水が切れる)かつ最適な通気量を保てる培地がゼロエミ式での理想の培地になります。

とりあえず、そのまま使ってみる!

しかし、なかなかそんな都合のいい培地には巡りあえません。

自分のお気に入りはコーヒーの赤い果肉、トウモロコシの芯(そのまま)、豆のサヤです。この3つは収量もまあまあよく、かつ、水切りは吊るしておくだけでOKです。労力がかかりません。日本ではコーヒー粕がお気に入りです。水切り作業は大変な作業(特に水きり機がない場合)なのでできればしたくないです。

まずは廃棄されたままの状態で使ってみましょう。ダメなら対応するだけです。考え工夫しましょう。応用力がゼロエミ式に最も必要とされる能力です。

色々、試しながら経験を積んでいってください。

培地の粒が大きい場合

粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果よい→OK

粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れる→結果がよい→OK

粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がきれなくなった→水切り作業→結果がよい→OK

粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れる→結果が悪い→原因探求orあきらめる

粒が大きい→水がよく切れる→そのまま栽培→結果悪い(方法変更)粉砕カット→水がよく切れなくなった→水切り作業→結果が悪い→原因探求orあきらめる

培地の粒が小さい場合も同様です。こんな感じで試行錯誤していってください。

培地量

扱う培地量はお好みです。培地の入手状況、培地の形、使用容器、栽培規模などに合わせて決めてください。自分は実験がメインですので、中がよく見える透明のビニール袋に1キロ詰めにしています。栽培目的なら廃品、または使いまわしのきく容器を使いたいです。 培地量が多ければキノコもいっぱいでてきます。ただ、失敗した時、無駄も多くなります。培地が少ないと失敗してもダメージすくないですが、でてくるキノコも少ないですし、培地詰めの作業も増えます。扱いやすいのは500グラムから3キロくらいまでだとおもいます。

培地の使い方(まとめ)

そのまま使おう!

廃棄物は様々な形で排出されてきます。たとえばジャガイモの皮にしても、家庭ではお母さんが手でむいてヒョロヒョロと細長い皮の状態でゴミとなりますが、大きなレストランや工場なら専用のジャガイモ剥き機を使用しているので、もっと細かい皮の粒になって排出されてきます。同じジャガイモの皮ですが状態(大きさ)が違い、栽培した時の結果も変わってきます。

基本的には培地は、細かい方(微細はダメ)がいいです。ただ、細かくすればキノコがよく出るからといって、何時間もかけて潰したり、刻んだりするのは結構大変です。そのあたりの匙加減は各人で工夫してください。まずは排出されたままの形で試してみて、結果を見てから柔軟に対応することです。

水を切れ!

ゼロエミ式では培地は石灰浸水工程→水切りという工程で培地は処理され、種菌が植え付けられます。この水切りの工程が非常に大切です。あまりにも培地に水が残ってぐちゃぐちゃだとキノコは生長できません。もちろん乾きすぎもダメです。キノコが一番生長しやすい水分率にいかに近づけるかが成功のカギのにとつです。

つまり廃棄物の形によって水の切り方をかえなければいけません。先のジャガイモではお母さんのジャガイモ皮は水きり機や手でがんばって絞らなくても、吊るしておけば 水がさっと切れていい状態になると思います。一方、ジャガイモ剥き機の皮は粒が細かいため、吊るしておいても水はなかなか切れなくていつまでも ぐちゃぐちゃです。こんな状態でキノコの菌を植えてもなかなか生長してくれません。なんとか水を絞りだしてやらなければいけません。それが無理そうならただ単に石灰を混ぜるという方法を試してもいいかもしれません。

経験を積めば感覚でわかってきます。ゼロエミ式は非常にアナログな栽培方法です。計算どおりにはいきません。アナログは難しいです。でも楽しいです。色々、工夫する余地がいっぱいあります。

抑菌・殺菌(石灰処理)

抑菌・殺菌(石灰処理)

便宜上、培地殺菌と言っていますが、ゼロエミ式では通常の菌床栽培で行うような高温による培地殺菌はしません。培地殺菌というよりも培地調整(石灰水処理)もしくは抑菌と呼んだ方が近いと思います。


菌床栽培の培地殺菌法とゼロエミ式殺菌法の違い

両者の違いを理解するため、まずは菌床栽培の殺菌方法を確認します。

菌床栽培の培地殺菌

菌床栽培では、キノコの菌糸のみを培地上で培養するため、キノコの菌を接種する前に完璧に培地を殺菌します。

■高圧殺菌

高圧殺菌釜(圧力鍋の大きいもの)で120度で30分殺菌

■常圧殺菌

蒸気釜で98度で4から6時間殺菌

これらの方法できっちりと培地を殺菌すると培地上に雑菌はいなくなります。この方法によって殺菌した栄養のある培地にキノコの菌糸のみを植えつけると菌糸はスクスクと生長しいっぱいキノコを出します。競争相手のいないところでおいしい食事をひとり占めにできるからです。ただ、培地は無殺菌無抵抗状態になりますので、その後、雑菌が混入するとあっという間にコンタミしてしまいます。

【参考サイト】

【技術分類】1-2-3 基本栽培方法/菌床栽培/殺菌工程

ゼロエミ式の基本的な殺菌方法

一方、ゼロエミ式の殺菌は殺菌と呼べるようなものではありません。抑菌と呼ぶ方がふさわしいようにおもいます。培地を石灰水に一晩から7日間浸水させるだけです。科学的にこの方法を検証したことはないので、これになんの意味があるのかと質問されても回答に困るのですが、とりあえずここでは、この方法でキノコが出ている事実に重きをおいて、検証は宿題、機会があったらやってみようと思っています。

(追記)

検証実験 - 石灰水によるキノコ栽培培地のpH変化を観察

 2009年07月22日のブログ|

両者の比較

菌床栽培殺菌法(高温殺菌

◎ 雑菌を排除し培地をキノコ菌糸のみ育てられる。栄養のある培地が使えるのでキノコの生長がはやい。収量があがる。きっちりやれば成功率は100パーセント近い。

× 多大のエネルギーを消費する。作業が面倒くさい。培地が無菌無抵抗なため管理をきっちりしないとすぐ雑菌にやられる。

ゼロエミ式殺菌法

◎ エネルギーを使わない。作業が簡単。管理も簡単。

× 失敗することもある。

まとめ

通常の菌床栽培できのこ栽培は商売目的です。売れる商品を計画通り、計算通りにつくり儲けるのが最大の目的目標です。その目的のためにはCo2も排出しますし(しない努力はしていると思いますが…)、設備投資、ランニングコストもかけます。培地も廃棄物の有効利用なんて考えていられません(多少は考えていると思いますが…)。もっとも効率のよい培地を研究し使用します。トータルで儲けがでる栽培設計をしなければ生活が成り立たなくなるだけです。

一方、ゼロエミ式栽培の目的、目標はキノコの収穫にのみならず、廃棄物の有効活用+環境に優しい栽培を目指しているので、切り捨てる(諦める)ところは切り捨て(諦め)なければならないことがあります。

ゼロエミ式で使っている培地も、通常の菌床栽培の方法(高温殺菌)で栽培すればより収量が上がる栽培ができることが多いです。ただ、その収量UPを目指すが故に高温殺菌を導入しエネルギー多大に消費してしまっては、本末転倒、ゼロエミ栽培の理念に反してしまいます。多少、収量減は、Co2を排出しない、栽培コストがかからないなどのプラス面で十分、相殺できます。

どちらの栽培法が優れている、劣っているということではなく、両者の栽培目的目標が根本的に違うということです。


ゼロエミ式抑菌・殺菌工程

色々な方法がありますが、基本的なゼロエミ式培地殺菌工程は以下のようになっています。

1.培地を消石灰水に浸水 ⇒ 2.数日放置 ⇒ 3.培地の水切り

必要品

水道水、雨水、川水を使用します。雨水を使うと環境満足度がUPします。いい雨水タンクが売っています。自分でも作れますし、自治体で補助を出しているところもあります。雨水はもっと色々と利用するべきです。

雨水タンク
雨水タンク
雨水タンク

消石灰

水1リットルに消石灰2.5グラムから5グラム程度使用(25度の水1リットルで1.6グラムが溶ける限界のようです。このくらいで十分なのかもしれません)。これは購入しています。ホームセンターで20キロ400円ちょっとでしょうか。100円ショップでも売っています。消石灰の代わりになるモノ、天然の消石灰岩みたいなのがあればいいのですがその方面は門外漢なので今後の課題です。

消石灰

浸水容器

培地を浸水させるスペースさえあればなんでも使えます。

■ゴミバケツ、漬物入れ、ペットボトル、衣装ケース、ビニール袋、カップ焼きそば容器等

扱う培地量や栽培工程設計により色々工夫してください。継続的に栽培したい方はバケツに水切り用の蛇口を取り付けると作業が簡単になります。

浸水容器
浸水容器
浸水容器

家庭でちょくちょく栽培する人は10リットルから20リットルの水タンクを細工して使うと便利です。石油用ポリタンクでもOKです。ホームセンターで発酵バケツが売っています。蛇口もついており加工の必要がないのでこれが使いやすいです。

浸水容器
浸水容器

また、浸水容器と栽培容器(換気口も)を一括化した容器を工夫して作成することもできると思います。要は工夫です。 大規模にやる場合は浸水用タンクを作ると便利です。

重石

沈めた袋(培地)の浮力に負けないものならなんでもいいです。漬物石、ブロック等。 継続的に栽培する方はつっかえ棒等を工夫すると便利です。

浸水容器
浸水容器

培地入れ袋

密閉されていない袋を使います。培地を水から引き上げた時、水がよく切れて、なるべく外気に触れないような(そんなに神経質になる必要もないですが)袋がいいです。自分はガラ袋を利用しています。ただガラ袋だと吊り下げて水を切る場合、ちょっと水が切りにくいかもしれません。その場合、袋の下部に穴をあけるとか工夫してください。培地が少量の場合は、キッチンの三角コーナーの網目袋などが利用できます。

浸水袋
浸水袋
浸水袋

(ちょっと工夫)

穴を開けたビニール袋に培地を入れて、直接浸水容器に漬けてしまします。排水と同時に水が切れます。水を切ったあとそのまま接種します。水切りが容易な培地を使用する際、かなりの省力になります。ちょっと袋がくさくなって、汚れてきたならしくなるのが欠点です。これは工夫の一例ですが、このように自分の栽培環境に合った「簡素化」をすると仕事量を減らすことができます。

■栽培袋をそのまま石灰水処理

浸水袋

吊り下げるだけで水がよく切れる培地は問題ありませんが、浸水させるとよく水を含み吊るしただけで水が切りきれない培地は圧力をかけて水を絞りださなければいけません。目安は培地を強く握って水がちょろっと滴り落ちるくらいがいいです(培地種類にもよりますが)ビニール袋数袋の栽培規模でしたら手で押しつぶしたり絞ったりして水を切ればよいですが、栽培規模が大きくなると水切り機を導入しないと結構大変です。日本では野菜絞り機として販売されているものが手頃だと思います。使わない洗濯機で脱水することもできます。

■野菜絞り機(日本製既製品)

水切り機
水切り機
水切り機

■水切り機(コロンビア自作)

水切り機
水切り機
水切り機

工程詳細

石灰水浸水法

培地をキノコの菌がよく伸びるような適正水分率に仕上げるのは結構、面倒くさいです。通常の菌床栽培のオガクズ培地(オガクズ+米糠等)なら水分率を60~65%に調整しますが、きちんとやろうとすれば、各材料の混合比率を決め、水分率を出して加える水の量を計算したりしなければならず、算数の苦手な自分には至難の業です(計算ソフト使いますが…)。だいたい手でギュッと握って水がじわりと出るくらいがいいと言われています。この石灰水浸水法では水分率の調整をせずに「水切り」をすることによって適正水分率に近づけます。 培地に排水するだけで適正水分率になるものありますし、絞ったり、圧力をかけて水を切って使うものもあります。

培地を消石灰水に浸水

消石灰水は水1リットルに対し消石灰2.5グラムから5グラムを混合(25度の水1リットルで1.6グラムが溶ける限界のようです。このくらいで十分なのかもしれません)。目分量で問題ありません。水が白くなればOK。あまり薄くなくあまり濃くない白くらいがちょうどよいです。

浸水タンク

放置

放置期間は3日から7日くらい。それ以上放置する培地にもよりますが悪臭がかなりきついです。浸水した次の日、水分量を確認。吸収のよい培地は水が減っていることが多いです。完全に浸水させるようにしましょう。

浸水タンク

培地の水切り

重要な工程です。培地を取り出し、吊り下げるか押しつぶすか(あれば水切り機)して水をよくきります。培地の水分量が多いとキノコの菌糸は伸びません。培地の特性(保水力)により、水切り方法を決めます。水切り後、培地を栽培容器に詰めていきます。

以下の方法があります。

水切り機

水切り

押しつぶし法

吊り下げ法

読んで字のごとく吊り下げて水を切る方法です。培地によってすぐ切れるもの、一晩程度かかるものなどありますので、状態をみて水切り時間を決めます。また、培地を入れる袋の種類によってもかわってきます。適度な培地の水分含有量は培地の種類、大きさなどにより異なります。培地を握ってボタボタ水が垂れない程度まで水が切れればいいと思います。

水切り

吊り下げ法では培地によっては水が切りきれなく、しばらくすると詰め込み容器の下に水がたまってくることがあります。もし、水がたまるようでしたら、ビニールの場合は下部の端を切って水を抜いてください。抜いた後は洗濯バサミ等でふさいだ方が虫などの侵入がふさげます。

水切り

手絞り法

これも読んで字のごとく浸水培地を手で水を絞り出す方法です。あまり培地が多いと大変ですが、少量の場合はこの方法が手っ取り早いです。培地を手でぎゅうと絞ってもいいですし、網目状の袋に入れて押しつぶして絞りだしても構いません。培地を手で直接触れることには抵抗感(雑菌混入の恐れ)が前はありましたが、ほとんど問題ないようです。コロンビアでは袋に入れた培地を地面に置いてトラックのタイヤで踏み潰して水切りをしているところもありました。それでいてコンタミ(雑菌にやられること)もせずにキノコが出ていたのですからたいしたものです。このいい加減さからヒントを得ることが多かったです。さほど気にする必要はないと思います。

水切り

脱水機・二層式洗濯機

小型の脱水機をきのこ専用にメルカリで買いました。二層式洗濯機も安いものがあります。粒の細かいコーヒー粕などに便利です。脱水しきると水分が足らなくなるので「止める頃合い」を会得して使います。

こんなの(お新香作り機?)も水切りに利用できるかもしれません。

水切り機

以上が基本的な工程になりますが、水の切りやすい培地を使用する場合には、水切り→容器に培地詰めという2工程をひとつにまとめて省力化が可能です。

※浸水行程省力化法(水切りのよい培地)

ペットボトルで一括化

ペットボトルに培地を入れて石灰水浸水をします。その後、下部のキャップから水抜きをします。水抜きの後、そのまま植菌をして培養ですので、培地の移し替えなどの手間が省けます。家で栽培する場合は手軽に出来るお勧めの方法です。注意点はキャップをしっかり締めること。締めないと水がジワジワと漏れてくることがあります。また、流れやすい(粒の細かい)培地の場合はボトル口にキッチンネットなどを詰め込んから培地を入れます。浸水翌日に培地が水を吸収して培地が露出している場合は石灰水を継ぎ足した方がいいです。

ペットボトル
ペットボトル
ペットボトル

材料が浮いてこないようにこんな工夫をしたり、

ペットボトル

流れ出ないようにこんな工夫をしたりします。
排水器具

この商品(ペットボトル茶漉し)はとても使えそうだったので購入しました。使えそうな感じでした。

排水器具
排水器具
排水器具

ビニール袋で一括化

上記の方法と同じ原理です。浸水完了後はビニール袋の端をカットして廃水します。水が残っているようでしたら、上から手で押して絞り出します。

排水
排水

カットだけだと粒の小さいもは流れ出してしまうので、こんな加工もしてキャップ内にフィルター入れて試しましたが作るのが面倒でした…

排水器具
排水

バケツ等を加工して一括化

場所があれば衣装ケースくらいの箱やバケツに蛇口を取り付け、培地詰め→浸水→排水→接種の工程を一括化できるものを製作して栽培も可能です。中規模から大規模に栽培する場合は導入すると作業工程が簡素化すると思います。

方法(具体例)

自分は家庭用40リットルゴミバケツを使用しています。バケツに水を半分入れて消石灰一握り(100グラムから200グラムくらい?)をとかします。そこに培地を入れたガラ袋を沈めます。ガラ袋が浮かないようにブロックを上にのせます。培地が完全に浸水するまで水をいれかきまぜて、フタをして完了です。あとは3日から7日間放置です。その後、バケツをひっくり返して廃水します。培地の入ったガラ袋を水切り機で水を切ってから(水の切りやすい培地は吊ってから)ビニール袋につめて接種作業にはいります。

石灰混合法

含水率の高い材料を使う場合や水切りが面倒な場合などは、材料に直接、消石灰を混ぜても可能なものもあります。その場合も材料の水分率を考慮する必要があります。少し乾燥させるなどしてから消石灰を混ぜる等の工夫をします。

煮沸法

材料を煮て殺菌します。煮た後に湯切りをして使います。鍋に材料と水を入れてフタをして30分~60分煮沸しました。その後、ひっくり返して一晩置いてフタの隙間からお湯を切ってから使いました。すぐに水分が切れる材料なら熱いまま栽培容器に詰め替えた方が雑菌にやられる可能性は少なくなります。完璧な殺菌はできませんが、ゼロエミ式で使用する培地(残渣など)は一気にカビなどが蔓延するほど栄養分の高いものを使わないので、この殺菌方法でもうまくいきます。多くの国で導入されている方法です。

煮沸
煮沸
煮沸

太陽熱利用法

低温殺菌法 パスチャライゼーション – Wikipediaを太陽熱を利用して実用化しようとしています。黒く塗ったペットボトルに入れてもかなり温度はあがるのでベランダでもいけるかもしれません。今後、試していきたい方法です。温泉があるところは温泉水も使えると思います。

低温殺菌

培地の使い方(まとめ)

そのまま使おう!

廃棄物は様々な形で排出されてきます。たとえばジャガイモの皮にしても、家庭ではお母さんが手でむいてヒョロヒョロと細長い皮の状態でゴミとなりますが、大きなレストランや工場なら専用のジャガイモ剥き機を使用しているので、もっと細かい皮の粒になって排出されてきます。同じジャガイモの皮ですが状態(大きさ)が違い、栽培した時の結果も変わってきます。

基本的には培地は、細かい方(微細はダメ)がいいです。ただ、細かくすればキノコがよく出るからといって、何時間もかけて潰したり、刻んだりするのは結構大変です。そのあたりの匙加減は各人で工夫してください。まずは排出されたままの形で試してみて、結果を見てから柔軟に対応することです。

水を切れ!

ゼロエミ式では培地は石灰浸水工程→水切りという工程で培地は処理され、種菌が植え付けられます。この水切りの工程が非常に大切です。あまりにも培地に水が残ってぐちゃぐちゃだとキノコは生長できません。もちろん乾きすぎもダメです。キノコが一番生長しやすい水分率にいかに近づけるかが成功のカギのにとつです。

つまり廃棄物の形によって水の切り方をかえなければいけません。先のジャガイモではお母さんのジャガイモ皮は水きり機や手でがんばって絞らなくても、吊るしておけば 水がさっと切れていい状態になると思います。一方、ジャガイモ剥き機の皮は粒が細かいため、吊るしておいても水はなかなか切れなくていつまでも ぐちゃぐちゃです。こんな状態でキノコの菌を植えてもなかなか生長してくれません。なんとか水を絞りだしてやらなければいけません。それが無理そうならただ単に石灰を混ぜるという方法を試してもいいかもしれません。

経験を積めば感覚でわかってきます。ゼロエミ式は非常にアナログな栽培方法です。計算どおりにはいきません。アナログは難しいです。でも楽しいです。色々、工夫する余地がいっぱいあります。

植菌(接種)

植菌(接種)

石灰水処理(その他の抑菌・殺菌処理)が終わり水切りした培地を容器に詰めてキノコの菌糸(種菌)を植え付けます。


菌床栽培の接種方法とゼロエミ式接種方法

この接種作業方法は菌床栽培とゼロエミ式では180度違います。

両者の比較

菌床栽培の接種

通常の菌床キノコ栽培で一番気を使うのがこの接種作業です。ここで雑菌が混入してしまっては全てがパーです。全ての条件を完璧にして作業にあたります。手を消毒し、作業前は清潔な服に着替えクリーンベンチ、クリーンルームでアルコールやアルコールランプ、ガスバーナーを使用して接種します。

ゼロエミ式接種

一方、ゼロエミ式では上の表のように通常の方法から見ればいい加減この上ない方法で接種作業を行います。技術が必要とされる菌床栽培の接種作業と違い、いい加減な作業でもOK、誰にでもできるのがゼロエミ式の特長です。普通の洋服で普通の部屋、または外で接種作業を行います。できれば作業前に手くらいは洗います。もちろん、本来一番気を使わなければならない接種作業をいい加減な方法で行うのですからコンタミ(雑菌混入)することもあります。ただ、今までの経験だとコンタミの理由は接種作業のいい加減さが原因ではなく、培地の水切り不足で水分量が多いとか、培地が栄養が多すぎるとか他の要因に起因することが多いです。


ゼロエミ式接種工程

接種方法

  • 個別接種方式
  • 培地混合方式
  • 重層方式
  • 一体型方式

培地の詰め方

培地の詰め方は、培地種類と容器の種類により千差万別なのでここで説明することは不可能です。経験を積めばどのように詰めればよいか感覚的にわかってきます。基本はフカフカ過ぎず、キツキツ過ぎず…培地量を確保しつつ培地全体に空気がまわるイメージで…詰める際は素手が基本です。手で直接、培地を触わって詰めることによりわかってくることが多くあります。培地水分率を計算して培地調整をする菌床栽培とは違うので、手の感覚によって学んだことを次回の栽培につなげていくことが重要になります。もちろん、モノにした培地なら、詰め込み作業が楽になる方法を工夫していくことはとっても大切なことです。

作業前

手洗いくらいはできればした方がいいと思います。アルコール消毒などは必要ありません。

作業場所

場所も清潔な場所でやる方がよいです(普通の場所でも、まず問題はありません) 。

容器種類別

基本的に培地が入ればなんでも利用できますが、容器により使い勝手等、様々です。

各種ビニール袋(一番お手軽)

透明のビニール袋が中の菌糸の伸び具合、雑菌の混入具合が見えて便利ですが、白、黒の袋でもかまいません。ただ、培養場所の温度が高いところで黒の袋を使うとムレると思います。スーパーの袋をリサイクル使用も可能です。傘袋なども面白いと思います。

詰め方

培地の粒の大きいものはそのまま袋にいれるだけどOKです。粒の小さいもの少しきつめに詰めます。培地に棒で穴を通して種菌の挿入口と換気口を作るとよいです。

ガラスビン

ガラスビンも透明、色つきとも利用可能です。何度も再利用できるのが利点ですが、大量に栽培する場合は洗浄等が手間です。また、ゼロエミ式で使用する培地は培地量に対して発生量が多くはないので500CCくらいのビンだとキノコがあまり発生しないかもしれません。きっちり詰めないと隙間にキノコが発生するので、粒の大きい培地は向きません。キノコの発生はビン口からになります。

詰め方

注意点は、培地をビン詰める前によく水切りをすること(あとから下に溜まっても排水しにくいので)。そして、培地をよく詰め込むこと(スカスカだとビン口でなく、横からキノコが発生することがあります)です。できれば詰め込み後、培地の真ん中を箸などの棒で突き刺して穴をあけ、その中に種菌を入れると菌糸の伸びもよくなります。

ペットボトル

基本はガラスビンに準じますが、加工ができるところがガラスビンと違うところです。色々な工夫ができて楽しいです。ただ、加工の仕方によっては1回きりの利用でゴミいきとなってしまいますので、再利用の効く加工方法を思いつくと満足度UPです。加工やカットをしないで使うのは詰め込みがしにくく不便です。培地の特性(大きさ等)により加工方法はかわってきますので各自工夫してください。広口ビンと違い、加工の仕方によっては、培養完了後、培地を取り出すこともできます。

→ ブログにペットボトルを使った実験を多くUPしています。

詰め方

加工方法、培地の種類により培地の詰め具合、接種方法がかわってきますので一概に説明することはできません。ベストはよく培地を詰め込んだ上で、種菌を培地に万遍なく混ぜるようにすることです。

その他

バケツ、ガラ袋、衣装ケース、ダンボール、特製栽培箱等


個別接種方式詳細

水を切った培地を容器に詰めます。そこにキノコの種菌を入れていきます。培地1000cc(または1キロ)にスプンの大匙1杯(できたら2杯)くらでいいと思います。種菌はいっぱい入れた方がいいですが、あまりどっさり入れるともったいないです。培地の粒の大きさ、容器によって方法がかわります。基本は培地全体に種菌をいきわたらせるようにすることです。

培地サイズ別

培地の粒が大きい場合(トウモロコシの芯など)

上から種菌をふりかけて容器を振って、種菌を培地全体にいきわたらせるようにします。簡単に種菌がいきわたると思います。逆に下の方に種菌がたまりやすいのでうまく調節してください。容器がビニール袋なら口を手で閉じて振ってください。培地が飛びださないようにするのはもちろんですが多少は雑菌の混入がおさえられます(あまり気にする必要もないのですが、一応)

培地の粒が細かい場合(コーヒー粕など)

こちらは容器を振ってもなかなかうまくいきわたらないことが多いです。自分は面倒なのでちょっと振った程度で培養してしまいますが、理想はよく混合することです。面倒でなければ、培地詰めの際、押し固めた培地に穴をあけるなどして種菌のいきわたりをよくします。

容器種類別

ビニール袋

扱いやすいです。培地を適量詰めて上から種菌をいれるだけ。入れてから袋を振って種菌をまぶします。作業はなるべく迅速、ビニールの口が開いている時間をなるべく少なくしたほうがいいです。置いてある時は口を折っておく、接種したらまた折っておくなどを心かけましょう(複数袋同時に接種する場合)。手で持ち上げられないような容器の場合、上から種菌をふりかけるか培地の粒が小さい場合は穴をあけて接種します。

広口ビン

基本的にビンを使うのは嫌いです。なぜなら通常の菌床栽培の培地のようにオガクズ+栄養材という培地ならビンにきっちり詰まり問題ないのですが、ゼロエミ式の培地は粒の大きいものが多く、そのためビンの口からでなく横から(ビンの内部)発生してしまい収穫に困ることがあります。培養完了後の培地を取り出して発生処理をかけることもできません。培地の粒が大きいものはなるべくビンは使わないほうがよいと思います。粒の小さいものはビンでも可能だと思います。接種は培地の真ん中に穴をあけてそこに種菌をいれてください。培地上部も種菌で埋めましょう。ただ、ゼロエミ式で使用する培地は培地量に対する発生量が少ないので500ccくらいのビンではあまりキノコはでないかもしれません。

ペットボトル

接種方法は広口ビンに準じます。カットした面、また、キャップ口から接種もできます。

その他

バケツ、ガラ袋、衣装ケース、ダンボール、特製栽培箱等


培地混合方式詳細

もっともゼロエミ式らしい接種方法です。成功例を腐るほどみていますし、自分でやって成功もしていますが、ちょっと大量に栽培する際は勇気がなくてなかなか手を出せない方法です。発展させなければならない方法なんですが…

培地をテーブルの上や大きな箱のなかに広げ、その上に種菌をぶちまけます。その後、よく培地と種菌が混合するように手で混ぜ合わせます。混合後はその種菌混じりの培地を容器に詰め込んでいって完了です。簡単です。

なかなか恐ろしい方法です。通常の菌床栽培しか経験のなかった自分は種菌を手掴みするなんて神に盾突く所業に思い、当初はこわくてこのこの方法には手を出せませんでした。どうしてもアルコールとアルコールランプ、薬匙を使いたくなります。なんたって種菌に直接手をふれるわけですから。しかし、超簡単な方法です。個別接種法と違い、培地に万遍なく種菌がいきわたり通気もよいので菌糸の伸び具合も良好です。また、ちょっと大きな規模でやる場合にはかなりの省力になります。ただ、失敗するとそのロット全滅する可能性もあります。(この方法でやってまだ全滅させたことはありませんが)培地の総合ポイントが高いものはちょっと怖い方法かもしれません。ポイントが低い培地(培地ページ参照)の場合は大丈夫だと思います。ただ、色々検証して発展させるべき接種方法であることは間違いないです。


重層方式詳細

ちょっと面倒ですが、培地を少し詰めて接種、また詰めて接種と数回繰り返して詰めながら接種する方法です。二人一組でやる場合などに向いています。傘袋のような長い袋や2リットルのペットボトルを使う場合にもいい方法です。菌糸の伸びもよく、ちょっと面倒ですが、培地混合式より怖さのない方法です。


一体型方式詳細

水切れのよい培地には最も効率的な方法です。石灰水浸水容器をそのまま栽培容器として使用します。石灰水浸水が終わった後、排水して、容器から出さずに接種します。詰め込みの手間が省け、詰め込み作業がないことで外気に晒される時間が短縮しコンタミ率が下がると思われます。

培地をペットボトルで浸水→そのまま接種

ペットボトル法の王道です。全工程をペットボトルで済まします。大好きです、この方法。現在、色々と実験中です。ゼロエミ式は雑菌との競争でもあるので菌が届くまでに時間のかかる下の方が雑菌に先にやられてしまう可能性があるので、接種後、ボトルを振って種菌をいきわたらせたり、培地に穴を空けて接種するなどの工夫をするといいです。


通気方法

キノコの菌糸が生長するには酸素が必要です。雑菌の混入を防ぎながら酸素を取り込むのが基本です。

ビニール袋の場合

キャップ方式

プラスチックの水道管などをカットしたものを袋に通し、新聞紙、コピー用紙などでフタをして輪ゴムや自転車のチューブを輪切りにしたものなどでとめます。綿でもよいです。丸めた新聞紙をただ突っ込んでとめるやり方もあります。

◎ 雑菌の混入を比較的抑えられます。
栽培環境が乾燥気味のところでも比較的、培地からの水分の損失が少ないです。

× 面倒くさいです。フタにする紙の枚数、厚さの調節が難しいです。厚すぎると酸素がよく取り込まれず菌糸の伸びが悪くなります。薄すぎると雑菌が混入しやすく、また培地が乾燥しやすくなります。袋を開けて発生させるので発生時に培地が乾燥しやすいのとコバエが来やすいです。

小穴方式

ゼロエミ式らしい方法です。ビニール袋に直接、細棒、カッターなどで小穴を数個あけます。自分は1キロ詰め培地で6個くらいあけています。

◎ めちゃくちゃ簡単です。培地混合式と合わせれば無敵の簡単さです。栽培環境さえよければ(湿度、温度)通気がよいので菌糸の生長が早いです。

× 直接外気と触れるため、コンタミの可能性がキャップ式より高いと思います(そんなにかわらない感じなのですが…)種菌に殻粒培地を使うとネズミが穴から匂いを嗅ぎつけて寄ってきます。また、袋にぴったりと詰まる培地でないと隙間にコバエ等が侵入してえらいことになります。

丸メ方式

簡単に(きっちり閉じないで)袋口を軽く丸めたり、結んだりして閉じておくだけです。簡単にホチキスで止めてもいいです。一番簡単な方法なのですが、よく考えたらあまりこの方法実験したことがありません。今後、実験し報告します。

ペットボトル

方法はビニール袋の方法に準じますが、ペットボトルカットの仕方で換気方法が変わってきます。キャップを軽く閉めておくだけでもよいと思います。

その他の容器

基本は菌糸の生長に必要な酸素を取り込みながら、培地が乾かない、また、雑菌になるべくふれないようにする換気方法を工夫します。


心構えと諦観

心構え

ゼロエミ式の接種作業はいい加減にやっても問題ありません。ただ、わざわざいい加減にやることはないです。

手を洗えるひとは洗ってください。石鹸のあるひとは石鹸を使ってください。アルコールやわざわざ清潔な服に着替える必要まではないと思いますができるならした方がいいです(ただそこまでするなら、接種場所等も無菌室に準じた場所にしないとあまり意味がないと思います。コロンビアのある団体では接種時、帽子 とマスクを着用するよう指導していましたが、接種場所の窓は開けっ放しの古い部屋でちょっと???でした)

作業時も、もし培地を袋に入れているなら、接種前は袋の上部を折りたたんで袋の口を閉じて置いておきましょう。接種時には最小限袋の口をあけ、そこから種菌をいれてあげましょう。そして完了したら、また袋の口をおりたたんで作業をつづけてください。種菌の容器もフタを開けている時は横にして落下菌がふりそ そぐのを少し防ぐなどの気遣いをしましょう。多少は成功率をあげてくれるかもしれません。

ただ、そんなことをしても結果はかわらないかもしれませんが、お金をかけないで、手間がかからなくてできることはするとよいと思います。

諦観

以前、どこまでいい加減にできるか実験したことがあります。車がビュンビュン通る道路の脇で手も洗わず接種作業をしても問題なくキノコはでました。培地を入れるビニール袋もスーパーの使用済みのものを使いました。

そこから導きだした自分の結論は、一番大切なのは培地選びということです。次に水切り具合。ゼロエミ式に耐えられる培地は多少いい加減に接種しても耐えられるのです。どんなに慎重に接種作業を行ってもダメな培地はダメです。石灰浸水法なんかで雑菌が完璧に殺菌されるわけもなく、もしされたとしても水切り作業時に雑菌は間違いなく混入します。そのような培地を使って無菌室で接種してもたいした意味はないと思っています。もちろん、雑菌は少ないにこしたことはありません。できる範囲で雑菌の混入を気をつければそれでいいと思います。

コンタミの原因を想像する

ゼロエミ式の接種作業は雑菌の混入を努力してまでさける必要なないと思っています(わざわざ雑菌をいれることもないのですが)。なぜなら培地上のキノコの菌と雑菌の間には共存関係、もしくは雑菌が、弱いキノコの菌に席を譲るような調和的環境が存在するように感じています。その調和的環境をゼロエミ式はうまくつくりだしているのではないか、もしかしたら、培地上にある程度の雑菌がいることでゼロエミ式が成功しているのではないかなどと全く根拠はない想像しています。コンタミする原因は培地の栄養価の高い低いがもっとも重要なファクターだと思いますが、何かそんな単純なものでない自然の調和の乱れのようなものを感じます。この点は今後、もう少しつきつめて考えていきたいと思います。

培養

培養

接種作業が終了したら、培養します。基本的なゼロエミ式で扱うキノコの培養条件はきのこ種菌の会社のサイトなどが詳しいです。

ゼロエミ式簡単きのこ栽培品種入手先


培養管理条件

培養期間

培地量や培地組成、栽培容器の種類、栽培条件(温度、湿度)により大きく変わります。通常1ヶ月から2ヶ月半程度で培養は完了します。

培養場所

ベストは暗黒下。または暗い所。部屋の隅やベランダの隅でも十分です。ただ直射日光や直接雨が当たるところは避けてください。多少、通気のよい静かな場所で培養しましょう。

培養施設

部屋の片隅やベランダ、また専用の培養室、培養箱をつくってもよいです。このページで説明している条件になるべく近い環境を整えてください。

温度

10度から28度以内くらいでしょうか。ベストは15度から22度の間だと思いますが、ゼロエミ式は空調設備のあるところでの培養を考えていませんので、冬場は室内、夏場は長時間30度以上にしない(もうちょっと暑くてもたえられそうですが)または34~5度を超えないようなところを見つけて培養してください。寒すぎても暑すぎても菌糸の伸びは悪いです。寒すぎるのは菌糸が伸びないだけで、ただ培養期間が長くなるだけなのですが、あまり暑いと菌糸が死にます。またコンタミしやすいです。しかし、そんなに高温を恐れることもないと思います。まだ高温が原因で殺した経験はないので、なんともいえないのですが、2007年夏近畿の耐えがたき暑さを耐え切り、昼間は35度を超える室内で培養しておりましが秋にはキノコが出てきました。6月始めに接種だったので、培養がそれまでに完了していたため暑さに耐えられたということだとは思いますが。いずれにしても、夏場はなるべく涼しい場所で培養しましょう。あまり暑いのはいかにタフなヒマラヤヒラタケでもよくないようです。ウスヒラタケはヒマラヤヒラタケより暑さには若干強いようですが、やはり暑い時の培養は難しいです。特に初期培養時はコンタミしやすいと思います。

工夫1 プール培養 

日陰でも35度以上ある場合は衣装ケースなどに水を入れてその中に栽培容器を沈めましょう。日陰では水温はいっても30度くらいだと思います。プール培養と名づけています。

工夫2 トンネル培養 

手間がかかりますが穴を掘るという方法もあります。トンネル培養です。土のトンネル内は涼しく比較的温度が一定です。

湿度

70パーセン前後がベストだと思います。栽培容器は密閉していませんので、あまり湿度の低い場所ですと培地の湿度が下がって菌糸が伸びにくくなってしまいます。特に、小穴換気方式だと培地がかなり乾燥します。乾燥気味な場所でしか培養できないようでしたら、キャップ方式の方がいいと思います。発生時は湿度はとても重要ですが、培養時はそんなに神経質にならなくてもよいです。培地は一応容器に入れてあるのである程度は湿度を保ち続けられます。失敗したら工夫して対応する。これでいいと思います。

湿度が多い

風通しをよくする。

湿度が少ない

容器のまわりに湿らせたタオル、新聞、テッシュ等を置く(画像は発生時のもの)。

栽培棚を網棚にし下に水をため水草を入れた容器を置いたり、植木鉢の上に置いたりします。

(参考) 温度、湿度は慣れれば体感でだいたいわかるようになりますが、温室時計を購入すると便利です。デジタルで数字がみれて便利です。数字をチェックするのが楽しみにもなります。その他、もっと簡易のもあるのでひとつあると便利です。


培養完了の見分け方

一体、いつ培養が完了してキノコが発生するのでしょうか?

これはなかなか難しいです。研究機関で色々と実験して結果もでていますが、それらの研究機関と同じ条件で栽培できるわけがないのでゼロエミ式には意味がありません。とりあえず培地に菌糸が容器全体に蔓延して真っ白になるのを待ってください。

ただ、ゼロエミ式培地は水切り加減によって培地が多湿気味になることも多いので、容器の下の部分だけ菌糸が伸びていかないこともあります。

伸びきらなくても、菌糸が蔓延した場所からだけキノコが発生することも多いので、臨機応変に発生作業への移行時期を判断してください。 培地を取り出し、菌糸のまわっていない部分を削ってから発生させるのもアリです。

蔓延後、10日から30日間待ちます。その間にキノコが発生してきたらそれでOKです。もし、キノコが発生してこないようでしたら、人工的に発生させます。詳細は発生工程に説明しております。


雑菌、バクテリア

経験を積んで、感覚をつかんでくるとコンタミ率は格段に下がってきます。これは成功するな、これは失敗しそうだなと感じることができるようになります。だた工場的生産方法ではないゼロエミ式キノコ栽培では成功率100%にすることは難しいです。失敗から学んでいくことが成功率を上げることにつながります。

害虫対策など

自然栽培下で行うことの多いゼロエミ式では、この戦いは大きなテーマです。薬品、電気を使わないで防除するには頭を使うしかありません。先人たちの工夫を取り入れ被害を最小限に抑えるよう努力します。被害が甚大になると何か「調和」が狂ってるんではないかなどど哲学的に考えてしまったりもしますが、「販売」をする場合には非常にやっかいな問題です。

ネズミ被害

コロンビアでは種菌培地に小麦大麦を使用していたので、それを狙ったと思われるネズミの被害がひどかったです。

対策としては棚を吊り下げ方式にするか、

栽培容器を吊り下げるか、

ネズミ返しの設置等が考えられます。種菌に殻粒を使用しなければ問題ないようにも思いますが実証はしていません。

ハエ被害

キノコバエだかショウジョウバエだかわかりませんが、これが一番やっかいかもしれません。目障りだし不潔っぽくみえます。

対策としては、とにかく栽培室を清潔に保つ、適度な通気、ゴミや腐ったキノコの芽などを放置しない、そして発生した場合にはハエトリテープやハエ取り機を設置することです。

食虫植物やカエルやクモに頑張ってもらうという方法もありますが気やすめ程度の効果でした。

日本なら文明の利器でアースノーマットがキノコバエには効果があるように感じています。

キノコムシ?被害

コロンビアではこの虫が結構、キノコを食べにきていました。

ナメクジ被害

ナメクジは大食漢。10円玉を置くといいときいたのですが、コロンビアには10円玉はありませんでした。

発生

発生

培養が完了したらいよいよ発生です。いっぱいキノコをだしましょう。 


自然発生と強制発生

空調栽培と自然栽培

管理方法でわけるとキノコ栽培は空調栽培と自然栽培の二つに分けられます。いずれの形態で栽培するかによってキノコの発生方法も変わってきます。

空調栽培とは

キノコの持つ発生センサー利用して環境調節設備(冷暖房、加湿器等)により温度と湿度を人工的に管理調節しキノコの発生をコントロールする方法です。

正確なキノコセンサー

キノコの菌糸は自分でキノコ(子実体)を出す時期、環境を知っています。それは見事なもんです。

2007年5月から6月にかけてコーンコブ(トーモロコシの芯の粉砕物)をゼロエミ式で70袋ほど接種し(ヒマラヤヒラタケ&ウスヒラタケ)、部屋の中と納屋に放置しておきました。この夏は酷暑で部屋の中など昼間温度計は35度を指していることが多かったです。 培養は完全に終了していましたが、待てど暮らせどキノコはでてきません。納屋の方は水が撒けるので床と棚にボロ毛布を敷き詰め散水しました。その結果、ウスヒラタケの方は発生してきたのですが(発生温度が高い?)、ヒマラヤヒラタケは一向に発生してきませんでした。

仕方ないので、培地を浸水させるか、土にでも埋め込んで発生させようかと思いましたが、思い直してこのままほっといてみようと思い観察していました。すると10月末になり気温が下がり、湿度が少しあがってくると、全袋(数袋失敗)一斉に発生してきました。4週にわたり接種したものが一挙に発生してしまったので、自分で食べれる分だけ残してあとは全部知人にプレゼントしました。よくもまあこんだけの数がまるで掛け声でもかけたかのように同時期にキノコを出すもんだと改めて感心しました。

まるで精密なセンサーがついているかのようです。

温泉熱で加温したキクラゲハウス

温泉熱で加温したキクラゲ発生ハウス

上の画像のように加湿、温度調整設備投資等、ランニングコストがかかります。また温度管理、湿度管理等のためエネルギーを消費しますが、計画的に栽培できるメリットがあります。キノコの発生条件にあわせて管理するので培養状態さえよければキノコが発生しないということはまずありません。

自然栽培(発生)とは

空調設備は使用せず、簡素な小屋などで、自然の環境下、気象条件で粗放的に栽培する方法です。

自然は一年中、キノコの発生条件にあわせてくれるわけでないので、春、秋のキノコの発生時期では自然にキノコが発生してきますが、その他の時期はキノコが発生しなくなります。空調設備などの設備投資費が抑えられるためコスト的に、また自然の気象条件を利用しエネルギーを消費しないため環境的によい方法ですが、一年を通して栽培するのは難しいです。

ゼロエミ式では

基本的に環境に負担をかけない自然栽培で行います。そしてなるべく一年を通して栽培できるよう色々工夫をします。

だからと言って、ゼロエミ式の理念からはちょっとズレますが空調栽培を否定するものでもありません。各人が自由に栽培設計してもらってかまいません。一年を通して大量の廃棄物を利用して大量にゼロエミ式で栽培したいとうひとに完全自然栽培を求めるのはこの四季のある日本では酷だと思います。

その場合は真夏、真冬のみ空調栽培、残りの季節を自然栽培に切り替え可能な施設をデザインするなどの工夫をしてなるべく環境に負担をかけないようにすることが大切です。できる範囲で環境によいことを最大限にしましょう。

日本には四季がある

当たり前ですが日本には四季があります。情緒ある日本の四季ですが、ゼロエミ式にはなかなか厳しいです。日本ではキノコが出る時期は自然環境下では基本的(種類によって違いはあります)に年二回、春か梅雨時期と秋です。自然環境下での栽培が基本のゼロエミ式だと日本では普通に栽培すると年2回、春に 1,2ヶ月秋に1,2ヶ月しか収穫チャンスがないことになります。

一方、自分がゼロエミ式を研究、実践してきたコロンビアは赤道に近いこともあり四季がありません。自分が住んでいた地域は標高1600メートルちょっとで、年間平均気温が18度。一日の温度変化は15度から25度。これが一年を通して変わりません。自然が空調設備を備えているような環境だったので、いつ接種しても培養が終われば勝手にキノコが発生してくる最高の気象条件でした。

気象条件の悪い日本では、割り切って年に2回収穫できればOKと考えるのが一番ですが、廃棄物は一年中あるので、なんとか空調設備を使わずに1年を通して発生させられるように現在、色々な方法を模索中です。

発生条件

環境(培養状態、気象条件等)がよければほっておいてもキノコは発生します。ただ、いつもそんないい条件が整っているわけではありません。強制的に発生させなければ全然キノコが発生しないこともあります。そのためにはまずキノコの発生条件を頭にいれておくことが必要です。

各きのこの発生条件等は以下のサイトが詳しいです。

株式会社キノックスきのこの栽培法

自然発生方法

キノコに最適の環境条件が整っていれば、培養完了後、しばらくするとキノコの芽を培地上に見つけることができると思います。芽を見つけたら以下の処置を施しましょう。

ビニール袋の場合

袋の口をあける。湿度が高い条件なら全開しても構いませんが、湿度が低そう(80パーセント以下)だったら、まず袋口を半開きにして、キノコの成長に合わせながらだんだんと開けていくようにしましょう。もし、培地上部でなく、袋内部の横にキノコの芽を見つけたら、芽をキズつけないようにその芽のまわりの袋を小さく破く、または十字にカットするなど、キノコの芽がそこから出て成長できるようにしてください。

コーヒーパーチ培地

ビニールの口を開け方を調整

小穴方式。穴から芽が出てきます。

トウモロコシさや培地。袋に隙間がある場合、袋内部の横からキノコの芽がでてくることがあります。その部分の袋を破いてキノコを成長させます。

小穴方式による吊り下げ発生の様子

ペットボトルの場合

ペットボトルの加工方法により変わってきますが、基本はビニール袋の場合と同じです。栽培形態や環境により方法は柔軟に変えていかなければならないものなので基本を押さえた上で色々試してみてください。

ビニール袋をかぶせて保湿。

強制発生方法

菌糸が培地全体に蔓延し培養がすっかり完了してるのに待てど暮らせどキノコが出てこない場合は強制的に発生させましょう。

強制発生のタイミング

培養が完了(菌糸が培地に蔓延)してから1ヶ月半から2ヶ月(出てくるまで、ずっと根気強く待っても構わないのですが)くらいはキノコの芽がでてくるのを待ちましょう。使用している培地によってこの期間は違うので一律で説明するのは難しいのですが、だいたい2ヶ月待って発生してこなかったら、発生条件を培養している環境が満たしていないと判断し、強制発生の手段をとっても構いません。培地と環境(温度、湿度)を人工的に調整して発生条件に近づけ発生を促します。

方法

どんなに頑張って以下に紹介する方法を講じても栽培環境が最悪(酷暑、極寒)ならばキノコは発生しません。強制発生方法に加え、気象条件(温度、湿度)を発生条件に近づけるようにしなければいけません。ここで紹介する方法は空調設備を使用しないゼロエミ式の方法です。

培地湿度調整

培地が乾燥気味だとキノコが発生しません。湿度90%程度が目安です。

培地のまわりに湿らせた布、新聞等を置いたり、

濡らした紙を置いて保湿。

濡らした紙とフタの開け閉めで湿度調整。

棚を網棚にして下の段に水草などを入れたプールを置いたりして湿度をあげる工夫をします。

衣装ケースに水が入っています。ホテイアオイを入れておいたのですが枯れてしまいました。

この簡易ハウスは保湿にいいです。横はクワガタ飼育。

それでもダメな場合は以下の方法で強制的に培地に湿度を与えて発生を促しましょう。

霧吹き法

培地が乾燥気味で発生しない可能性があります。培地直接に霧吹きで水をふいたり、水をかけてあげましょう。数日後に芽がでてきたら大成功です。

水をかけます。

しばらく浸けてもOK。

浸水法

霧吹きより大胆に培地を水につけてしまいましょう。ビニール袋やペットボトルで栽培しているなら直接容器に注水してもかまいません。また、容器から培地を取り出してバケツなどに水をはって浸水してもOKです。浸水時間は培地にもよりますがだいたい10分から30分でよいと思います。培地の粒が大きいものは崩れやすので霧吹きか容器に直接注水の方がいいです。水を切った後は容器にもどして湿度を保つようにします。

表面を掻き出します。

そして浸水。

覆土法(オススメ)

培地の上に湿らせた土、鹿沼土、赤玉など培地がちょっと顔を覗かせる(1,2センチ)程度にふりかけてください。通常1週間前後で芽がでてきます。芽が出ても周りの環境が乾燥していればキノコの芽は大きく成長しません。覆土することにより、芽の間近で土から湿気があがってきますので成長にいい環境をつくりやすいです。

濡らした鹿沼土で培地を覆って保湿します。

袋の場合。

乾燥気味の場所ならビニールを閉じて対応。

埋土法(オススメ)

培地を容器から取り出し、土の中(または鹿沼土、赤玉)に埋めてしまいます。木陰などの発生環境のよいところに埋めるか、プランター等に埋め込みます。その上から散水します。こちらも1週間前後できのこの芽がでてきます。覆土法と同様、キノコの芽の成長によい環境がつくりやすいです。

プランター。

植木鉢。

温度調整方法

冬場、夏場とも室内ならば人間は春か秋の環境で生活しようと冷房、暖房を使用するものなので、湿度の条件さえ整えればキノコが発生してくる可能性が高いと思います。家庭ゴミを利用した少量の栽培なら部屋の片隅においてあげてください。中規模以上の栽培規模で自然下で栽培する場合は地域によっては、夏、冬は温度の調節が必要になるかもしれません。

栽培環境が高温の場合

とにかく涼しい場所を探しましょう。木陰、土間etc。それでダメなら工夫しましょう。30度を超してくるとヒマラヤヒラタケの発生は難しくなってくると思います。ウスヒラタケはヒマラヤヒラタケより発生温度が多少高そうなので夏場に発生時期を迎えそうな場合はウスヒラタケを選ぶといいかもしれません。また、まだ実物を見たこともないのですが高温に強そうなオオヒラタケ、クロアワビタケを是非ゼロエミ式で実験したいと思います。もし、ゼロエミ式に耐えられるような品種でしたらゼロエミ式の可能性はますます広がります。自然環境下で栽培するゼロエミ式では品種選びも重要です。その他のヒラタケ属のトキイロヒラタケ、タモギタケ、エリンギなども直感的にあまりよくないように感じますが、確認のために実験していきたいと思います。

温度を下げる方法

なかなか難しいですが、一応、参考までに二つ方法をあげておきます。「培養」のページでも紹介している方法になります。

冷蔵庫法

培養が完了したら冷蔵庫にいれてしまいましょう。条件等、現在実験中です。

トンネル法

手間がかかりますが、トンネルや穴を掘って発生場所にします。トンネル内は比較的涼しく湿度も高いです。

このように崖崩れを起こす危険があります。隣の家は傾き、ニュースになってひどい目に合いました。

プール法

衣装ケースなどに水を張り、その中に容器を沈めます(培地に浸水しない程度)。日陰において直射日光をさければ水温はいっても30度程度にはおさえられると思います。

栽培環境が低温の場合

ヒマラヤヒラタケの最低発生温度は8度あたりらしいのでなんとかそれ以上は確保したいです。日中に数時間でも8度に達すれば発生するのか、通日8度の培養でも発生するかなど、実験する環境、設備がないので、まだ自分にはヒマラヤヒラタケの特性がよくわかっていません。従って最低限の低温栽培環境を記すことができませんので、ここでは単純に基本的な保温方法をあげておきます。また、冬場にはヒラタケの中で低温に強い品種を選んで栽培するのもいいかもしれません。

保温に利用できそうな用品

簡易ビニールハウス

発泡スチロール

覆いかけ(ビニール、寒冷紗など)

収穫

収穫

さて待ちに待った楽しい収穫です。


収穫時期の目安

スーパーの傘の小さいキノコに慣れている人にはびっくりするぐらい大きくなるのがこのヒマラヤヒラタケ、ウスヒラタケです。デカイやつになると20センチ近くになるやつもいます。

小さいほうが身がしまっておいしいともいいますが、せっかくなんで傘を開かせて大きくして収穫してあげましょう。ただ、「もうちょい、もうちょい」とひっぱり過ぎるとグチュグチュになり痛んでしまいますので、ある程度のところ(お好みで)収穫してあげてください。

芽が発生してくると、最適な条件(温度、湿度)を与えるとキノコはびっくりするくらいのスピードで伸びてきます。培地や栽培環境によって、出てきたけど萎れてしまうやつ、いっぱい目がでてきて小さめのキノコが大発生するやつ、数本しかでないが、それが巨大な数本等、色々です。スーパーのキノコのように型、品質の揃ったキノコを出すことは難しいです。どんなのがでてくるのかわからない。これがまた楽しいのです。

収穫の仕方

根元からもいでも、カットしても構いません。 ただ、もぐ場合はなるべく培地をキズつけないよう(培地を壊さない)にうまくもいでください。カッター等でカットする場合は、カットして培地上に残った部分は手で取り除いた方がベストです。その残ったキノコの部分に雑菌が繁殖したり虫が寄ってくることが多いです。収穫が終わりましたら、次の発生に備える準備をしましょう。採れる量は減ってきますがキノコは数回にわったてで続けます。

クズきのこの利用方法

虫に食われたりしたクズきのこももちろん食用で問題なく食べられますが、乾燥させてスリ潰して粉状にして保管してもよいと思います。それをどう利用(調理)するかはアイデア次第、栄養価はかわらないので無駄なく利用しましょう。

くずキノコも栄養は一緒。乾燥すれば保存も効きます。

こんなに乾燥できました。

キノコの嫌いな子にもわからないようにミキサーで粉砕。

二番発生

一回目の収穫が終わりました。しかし、ここで栽培終了ではありません。頑張ればあと数回キノコは収穫できます。採れる量は次第に減っていくのですが。まずは3回採りを目指しましょう。収穫後のキノコの根元はきれいに抜きましょう。残しておくとカビが生える可能性が高くなります。


二番発生方法

基本は発生条件に如何に栽培環境を近づけることができるかにかかっています。その上で以下に紹介する方法を使って(組み合わせて)キノコの発生を促します。方法は一次発生に準じます。

■再培養

袋の口を空けて発生収穫していたなら、袋の口を再度閉じて(換気は必要)再培養します。発生条件(温度、湿度)に合った環境であれば、しばらくして菌糸にパワーが充電されたらまたキノコが発生してきます。

■霧吹き

一回発生させると培地が乾く場合が多いで、その場合は、霧吹きで水をかけます。

■浸水処理

培地の乾燥がひどい場合は、培地を数分~数時間、浸水処理をします。ただ、培地の種類や状態によりサジ加減をかえなければならないので、ここらへんは経験を積むしかありません。

■覆土法

培地の上に土を被せて覆う方法です。

培地の上に湿らせた土、鹿沼土、赤玉など培地がちょっと顔を覗かせる(1,2センチ)程度にふりかけてください。覆土することにより、土から湿気があがってきますので成長にいい環境をつくりやすいです。

■埋土法

培地を直接土に埋め込んでしまう方法です。培地を日陰のちょっとジメジメしたところや、植木鉢の隅に穴を掘って入れ、上から土(土玉)を軽くパラパラと1.2センチかけておきます。(培地が土玉の間からちょっと見える程度)設置したら上から水を適当にかけておきます。うまくいけばしばらくするとまたキノコがでてきます。出てこない時はあきらめてそのまま土にかえしてしまいましょう。有機廃棄物なので時間がたてばいい肥料になってくれるはずです。

プランターでも 庭がなかったりして場所がないひとはプランター等の容器でも可能です。そのへんの土や鹿沼土、赤玉(雑菌が少ない?見かけもきれい)で培地を埋め込み水をかけます。あとはキノコの発生条件に近い場所(直射日光の当たらないできるだけ涼しい場所)に置いておくだけです。湿度管理が容易になります。お勧めの方法です。

■放置法

庭の片隅や木陰に積み上げておけば気温、湿度がキノコの発生に適した時に勝手に出てきます。虫やナメクジも寄ってきますがいいキノコも収穫できます。


栄養液浸水法

一度発生した培地を米のとぎ汁や米糠などの栄養材を水に溶いたものにつけて栄養を再吸収させ収量をUPさせてみようとしたことがあります。コロンビアで何度か試しましたが、きちんとした実験ではないので収量UPの実感はあまりありませんでした。また、新たに栽培した方が手間もかからないこともあってこの方法を実際に使うこともありませんでした。このような資料  栄養液浸漬処理によるシイタケ子実体の発生 もあるのでもしかしたら多少は効果があるかもしれません。家庭レベルでの栽培の場合、試してみても面白いと思います。

栄養液注射・点滴法

栄養液浸水法は培地を一度、棚から降ろしたりする作業が数がある場合には面倒です。そこで、考えたのが注射・点滴法です。培地に直接、栄養材を注入、もしくはアンプルのようなもの(ペットボトル先端をカットしたものなど)に栄養液を入れて、それを差し込んで吸収させる方法です。


わらしべ法

一度収穫した培地を種菌として再度、栽培に使用する方法です。雑菌やバクテリアがあまりない培地を使います。培地表面にアオカビなどが生えている場合は洗い流してから使用します。培地の倍(1キロ培地なら材料1キロに)くらいの比率で使うくらいがいいと思います。

廃培地利用

廃培地利用

収穫後に残った廃培地も有効に利用します。


収穫後

ゼロエミ式では廃棄物ゼロを目指しています。収穫後の培地をそのままゴミ箱に捨ててしまっては真にゼロエミ達成とはなりません。

理想は以下のような総合バイオシステムの構築です。

もちろん廃棄物から生産物(キノコ)をゲットしたのですから、すでに目標の半分は達成されています。そのままゴミ箱にポイしていただいてもなんの問題もありません。

あまり環境環境といっても息苦しくなるだけです。自分は環境ファシストではないので、各人のできる範囲で努力すればいいと思っています。ゼロエミ式キノコ栽培は面白いですから、やっているうちに楽しくなり、「もうちょっとこうすれば環境にいいかな」などと自発的に工夫し始め考えるようになってくると思います。

廃培地の利用

以下、主な廃培地の処理方法を紹介します。

土に返す

もっとも簡単な方法です。ゴミ箱に返すのでなく地球に返すのです。地球から与えいただいた有機廃棄物は地球に還しましょう。そのまま、土の中に埋めてしまってください。キノコの菌糸では分解しきれなかったものを、雑菌、バクテリアがよってたかって分解しにきます。時間をかけてゆっくりと土にもどっていくはずです。

堆肥(コンポスト)にする

廃培地を利用して堆肥をつくりましょう。堆肥のつくり方は色々な本やサイトで紹介されています。 また、堆肥をつくるためのコンポスト容器など色々販売されています。

ミミズ養殖

コロンビアでは廃培地でミミズを養殖していました。廃培地に牛糞などを混ぜたところにミミズを入れて養殖します。ミミズも売れますし、ミミズを養殖した後の培養土はいい肥料になります。

アメリカミズアブの飼育

家畜のエサ

これもコロンビアでの話しですが、ある牧場でキノコ栽培をしていました。そこでは廃培地を豚小屋にボンボン投げ入れ食べさせていました。大丈夫なんかいなと見ていましたが、ブタはほんとなんでもガツガツ食べます。培地の種類はコーヒーの果肉でした。「コーヒー豚」とか「キノコ豚」とかで売り出すことできるかもしれません…なかなかインパクトあると思います。

ゼロエミ式きのこ栽培実践例

実践例を参考に自分なりのゼロエミ式栽培を開発して楽しんでください。

大規模からおウチで栽培まで、様々な形で楽しめます。

大規模栽培

スペースがあれば、ゼロエミ式キノコ栽培法を使って商業キノコ栽培が可能です。なんといっても初期コスト、ランニングコストが通常の栽培方法と比べて比較にならないほど低いです。ただ通年栽培をするには、培地の入手先の確保と日本では気温、湿度等の管理が問題になります。

中規模栽培

多少スペースがある人向けの実践例です。家庭で消費するには十分な量が収穫できます。個人で空きスペースを利用して栽培し、消費できない場合は直売所などで販売することもできると思います。

コーヒー農園(中規模栽培)

コーヒー農園

コーヒー農園の中で実験的に栽培しました。培地のコーヒーの果肉が新鮮なまますぐに手に入るのでとても楽でした。モノを運ぶという行為にはどうしてもエネルギーの消費が伴います。車なんか使うと本末転倒になってしまうことがあります。2000年実施。

主 体コーヒー農園培地種類コーヒー果肉
地 域コロンビア調整方法プラバケツ石灰水浸水
規 模中規模水切方法吊るし
場 所林の木陰接種方法手洗・野外・手振り混合
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法テイッシュタンポン
収 量良好栽培容器ビニール袋

こうしてコーヒーを実と果肉にわけます。

培地浸水。フタなしです。

換気法はキャップ式の応用?ただテッシュをつっこんだだけです。

培養場所の画像がみつかりませんでした。空き部屋利用してました。発生場所は林内に簡単に屋根がけ、スレートとバナナの葉利用です。下はスレートの廃材です。画像は収穫後です。

コロンビアの子供食堂(中規模栽培)

NGO団体の子供たち

近所の市場で捨てられる豆のサヤやとうもろこしの芯などを貰って栽培実験をしました。手順さえ教えれば子供たちだけでも簡単に栽培できました。各家庭の現金収入UPのために栽培してもらうための実験でしたが、そこまでは実現しませんでした。残念です。2002年実施。

主 体NGO団体 (子供グループ)培地種類豆のサヤ、モロコシ芯など
地 域コロンビア調整方法改良ドラム缶石灰水浸水
規 模中規模水切方法ドラム缶内一括水切
場 所簡易栽培小屋、空教室接種方法手洗・野外・手振り混合
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法キャップ法
収 量良好栽培容器ビニール袋

コロンビアの子供食堂きのこ

とても働きモノの子供たちでした。うるさかったけど(笑)

コロンビアの子供食堂きのこ

培地にする豆のサヤを袋に詰めてます。

コロンビアの子供食堂きのこ

近くの市場で貰ってきます。市場にはトウモロコシの芯やサヤなど培地として使えるものが大量に棄てられています。 これはトウモロコシの芯。

コロンビアの子供食堂きのこ

ビニール袋に詰めています。

コロンビアの子供食堂きのこ

詰め終わりました。

コロンビアの子供食堂きのこ

今回は浸水・排水工程を同時にやる手抜き法なので袋に端をカットしておきます。

コロンビアの子供食堂きのこ

換気キャップもつけておきます。

コロンビアの子供食堂きのこ

準備OK。

コロンビアの子供食堂きのこ

ドラム缶に入れます。

コロンビアの子供食堂きのこ

消石灰を用意。

コロンビアの子供食堂きのこ

石灰水を作ります。

コロンビアの子供食堂きのこ

ドラム缶に流し込みます。

コロンビアの子供食堂きのこ

浮かないように重しを置きます。

コロンビアの子供食堂きのこ

水を入れます。

コロンビアの子供食堂きのこ

完全に培地を浸水させます。

コロンビアの子供食堂きのこ

フタをします。

コロンビアの子供食堂きのこ

出来上がり。この時は3~7日間浸水してました。

コロンビアの子供食堂きのこ

その後、排水。

コロンビアの子供食堂きのこ

なんともいえない臭いが漂います。

コロンビアの子供食堂きのこ

排水完了。重しを取ります。

コロンビアの子供食堂きのこ

浸水・排水工程、一気に完了してます。袋、ちょっと汚いですが。

コロンビアの子供食堂きのこ

取り出し作業。

コロンビアの子供食堂きのこ

種菌を入れます。

コロンビアの子供食堂きのこ

小麦種菌。プロジェクトの趣旨と合わない気もしてましたが。

コロンビアの子供食堂きのこ

換気口をつけます。ゴムは自転車のチューブ。

コロンビアの子供食堂きのこ

完了です。

コロンビアの子供食堂きのこ

教室の片隅で培養。

発菌。一か月くらいでしょうか。

コロンビアの子供食堂きのこ
コロンビアの子供食堂きのこ
コロンビアの子供食堂きのこ
コロンビアの子供食堂きのこ
コロンビアの子供食堂きのこ
コロンビアの子供食堂きのこ

コロンビア女性グループ(大規模栽培)

女性グループ

コロンビアの「キノコの母」です。食用キノコの認知度ゼロの時(2000年前後)から始め、現在ではスーパーの陳列棚にヒマラヤ ヒラタケが並ぶようになったのも彼女たちの力によるものが大きいです。コーヒー工場から出るコーヒー豆の薄皮2種の混合培地を使っています。水切りが大変な培地ですが収量は抜群です。数年前の崖崩れで小屋が壊れ、活動中止になったと言っていました。残念です。

主 体主婦グループ培地種類コーヒー薄皮2種混合
地 域コロンビア調整方法石灰水浸水・プラバケツ
規 模大規模水切方法水切機
場 所専用栽培小屋接種方法手袋・室内・混合&重層法
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法小穴法
収 量良好栽培容器ビニール袋

この地区の主婦が集まってキノコプロジェクトを市から支援を受けて行っていました。数年前、残念ながら豪雨の崖くずれで栽培小屋が潰れてしまったようですが復活したでしょうか?素晴らしい仕事をしていました。

コロンビア主婦きのこ栽培

培地を混合します。
培地としてコーヒーの薄皮2種(コーヒー豆を取るには4種類の廃棄物がでます)を混合して使っています。とても良い培地ですが、混合がちょっと面倒くさいです。この廃棄物は加工工場で出るものなので、なんらかのコネがないと入手できません。

コロンビア主婦きのこ栽培

浸水のためガラ袋に培地を詰めます。

コロンビア主婦きのこ栽培

計量してます。

コロンビア主婦きのこ栽培

ゴミバケツに石灰水を入れて浸水させます。

コロンビア主婦きのこ栽培

フタをして1週間放置します。
排水用蛇口をつければ楽になるのですが、コロンビアの主婦はパワフルです。

コロンビア主婦きのこ栽培

画像がないですが、水切り機で水を切っています。吸水性がとてもよい培地なのでしっかりと水を切らねばなりません。水を切り終わった培地をバケツに移しています。

コロンビア主婦きのこ栽培

袋詰め(ギュウギュウに)して接種です。この時はちょっと詰めて接種、また詰めて接種(重層法)していました。マスクして接種していますが、後ろの窓が全開です…これはあまり意味ないと思います…

コロンビア主婦きのこ栽培

換気法は小穴法です。木の棒でブスブスと穴をあけていきます。

コロンビア主婦きのこ栽培

隙間なく詰められる培地では小穴換気法は便利です。

コロンビア主婦きのこ栽培

培養です。
ここは標高2000メートルくらいの結構涼しい場所(平均15度くらい)ですが、画像のように黒ビニールで囲った小屋での培養なので内部は昼間、かなりの温度になっていました。涼しいですが、直射日光がきついのがこのあたりの気候です。

コロンビア主婦きのこ栽培

培養が完了したら吊り下げての発生です。通気性を考えたのでしょうが、ちょっと面倒くさい方法です。この培地はかなりガチガチなのでどうせなら真ん中に穴 を明け、棒や紐を通して数個まとめて吊り下げた方が簡単だと思います。

コロンビア主婦きのこ栽培

こちらは床に置いての発生です。種菌が小麦培地なのでネズミが心配ですが楽です。キノコもよくでています。床がコンクリートなので湿度調節が難しいです。コンクリートはキレイに感じますが、土間で十分だと思います。湿度も土間の方がコントロールしやすいです。ぐちゃぐちゃになるなら、砂利+炭とかで対応すればベストです

コロンビア主婦きのこ栽培
コロンビア主婦きのこ栽培

発生。

コロンビア主婦きのこ栽培
コロンビア主婦きのこ栽培

ほんとによく採れてます!

コロンビア主婦きのこ栽培

きれいにパッキングして販売します。

コロンビア主婦きのこ栽培

廃培地はこのミミズ飼育場へ。。ミミズも養殖して販売しています。

コロンビアの老人ホーム(中規模栽培)

老人ホーム

老人ホームの食材のための栽培です。市場に近いこともあり培地の入手は容易です。日本でも楽しみながらホームの人たちが栽培してくれるような所ができるといいのですが。2003年実施

主 体老人ホーム培地種類コーヒー薄皮、モロコシ芯、牧草
地 域コロンビア調整方法プラバケツ石灰水浸水
規 模中規模水切方法吊るし
場 所簡易栽培小屋接種方法手洗・野外・手振り混合
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法小穴法
収 量良好栽培容器ビニール袋

彼がホームの農園担当です。渋いです。

中庭の日当たりがよくのどかなところでした

浸水バケツです。

この日はトウモロコシの芯に接種です。袋の口を縛って、袋に小穴を数個あけます。

菌糸が伸びてきました。名前忘れましたが、牧草です。

吊り下げての培養です。袋が伸びて破けることもあり、そこから新鮮な空気とともに雑菌もガンガン入っていっていると思いますが力強く成長してます。

トウモロコシの芯です。ここはほぼ生のトウモロコシの芯を使っていました。一度、乾燥させて組織を殺した方が発生がよくなるかもしれません。なんとなくそう思います。

コーヒーの薄皮培地です。いい感じですが、この培地ならもっと出てもいいような気がしますが。

コーヒー地帯の一般家庭

一般家庭(中規模栽培)

コーヒー地帯にあるごく普通の家庭での栽培です。コーヒー豆をとった後にゴミとして残るコーヒーの果肉を培地として栽培しました。道具から小屋まですべて 自作です。種菌も自分たちでつくり販売までするようになりました。取材も来たりして嬉しかったです。子供たちも非常に協力的で一緒にコーヒーの果肉を運ん だり、いい思い出です。もっとも愛した家族でした。2001年実施。

ここの栽培は現地の新聞などでも取り上げてくれました。

NEGOCIO DE HONGOS ALZA VUELO


家族で栽培しました。コーヒー地帯のど真ん中に家があるので培地はコーヒー豆を取り出した後の果肉です。

浸水工程用にドラム缶に廃水口を溶接でつけました。鉄分が菌糸によいかも??これで大量に浸水できます。

袋浸水法もやりました。

自作の水切り機です!ここはなんでも自作です。凄いです。

牛乳缶で自作の高圧殺菌釜をつくりました!これも凄いです。ちょっと怖いですが(笑)種菌も自分たちでつくります。

家の裏のスペースに栽培小屋を建てました。横が土崖なので温度、湿度ともバッチリでした。


培地はコーヒーの果肉です。子供たちが近所のコーヒー園から貰ってきて、週1回栽培しました。換気はキャップ方式です。

竹を使っての自作の栽培小屋。感動的に美しいです。下がむき出しの土でとてもよいです。

コバエが多いのでペットボトルで作ったハエ取りを置きました。

竹の棚がよいですね。隙間があるので湿気が均等になる気がします。

立派なヒマラヤヒラタケです。処分に困っているコーヒーの果肉から出たのですから万々歳です!

コロンビア農業高校(大規模栽培)

農業高校

コーヒー地帯にある農業高校での実践栽培です。地域で処理に困っているコーヒーの果肉の有効利用法のひとつとしてキノコ栽培を導入、実験してしました。2001年実施。

主 体農業高校の生徒培地種類コーヒー果肉、サトウキビ粕
地 域コロンビア調整方法石灰水浸水・プラバケツ
規 模大規模水切方法水切機・吊るし
場 所専用栽培小屋接種方法手袋・室内・上部から
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法キャップ法
収 量良好栽培容器ビニール袋

コロンビア農業高校きのこ栽培

コロンビアのコーヒー地帯にある農業高校です。

コロンビア農業高校きのこ栽培

培地の石灰水浸水。よく漬かっています。くさそうです…

コロンビア農業高校きのこ栽培

これだけあると結構な量栽培できます。入れ過ぎでフタが持ち上がってます…蛇口なしのただのゴミバケツを使用し、ひっくり返して排水していました。女の子はくさいくさいと逃げ回っておりました。

コロンビア農業高校きのこ栽培

水切り場。一晩吊るして水を切ります。

コロンビア農業高校きのこ栽培

網目の粗い袋でこの扱い。雑菌つきまくりのはずですが、結構、大丈夫なんです。

コロンビア農業高校きのこ栽培
コロンビア農業高校きのこ栽培

水切りを製作しました。吊るし法と併用しています。

コロンビア農業高校きのこ栽培

いっぱい接種しました。

コロンビア農業高校きのこ栽培

発菌してきました。培地はサトウキビの絞り粕の粉砕物。種菌は小麦の穀粒種菌です。種菌は一部コンタミしており、あまりいいものではありませんでした。

コロンビア農業高校きのこ栽培

培養中。袋の下に水が溜まっています。端をカットして水を抜いた方がいいです。

コロンビア農業高校きのこ栽培

奥のはコンタミしてます。

コロンビア農業高校きのこ栽培

コンタミの原因は主にネズミ。ここはネズミがひどかったです。種菌に小麦を使っているのでそれ目当てで来るようです。ネズミを寄せ付けない方策が必要です。

コロンビア農業高校きのこ栽培

かなり大きな栽培小屋です。棚の吊り下げがロープで簡単でいいです。ただ水平だすのが苦労しているようです。竹や棚が白くぬってあるのは石灰だと思います。雑菌よけの意味があるらしいです。

コロンビア農業高校きのこ栽培

いよいよ発生です。

コロンビア農業高校きのこ栽培

コーヒーの果肉からの発生。この地域は大量にコーヒーの果肉が廃棄されます。河川の汚染など問題になっており、有効な利用方法のひとつとしてキノコ栽培を実験しています。

コロンビア農業高校きのこ栽培

サトウキビの絞り粕の粉砕物です。この地域より少し標高の低いところではサトウキビ栽培が盛んです。

コロンビア農業高校きのこ栽培

こんなにコンタミしててもたくましく出てくるヒマラヤヒラタケに感動です。

コロンビアの牧場(中規模栽培)

牧 場

牧場内の廃倉庫を利用して栽培しました。培地は付近の農家から出る豆のサヤ、トウモロコシの芯や茎葉、サトウ キビの絞り粕など使いました。これらの培地は形状が水切りがし易く、浸水後、袋を引き上げ小一時間吊るしておけばいい感じに水が切れます。非常に小労力で 栽培できました。週に1回みんなで作業していたのですが、作業後のおいしいご馳走が楽しみでした。

主 体牧場内の家族培地種類豆サヤ、モロコシ芯、サトウキビ粕
地 域コロンビア調整方法改良プラドラム缶
規 模中規模水切方法吊るし
場 所廃倉庫利用接種方法手洗・野外・手振り混合
品 種ヒマラヤヒラタケ換気方法キャップ法
収 量良好栽培容器ビニール袋
コロンビアの牧場きのこ
コロンビアの牧場きのこ

この三人と一匹が大活躍でした。

コロンビアの牧場きのこ

フタにする新聞紙をカットしています。

コロンビアの牧場きのこ
コロンビアの牧場きのこ

定期的に栽培するので排水口付の浸水バケツを作りました。

コロンビアの牧場きのこ

培地はトウモロコシの芯、サトウキビの絞り粕、豆のサヤ。いずれも近所の農家のゴミです。多少カビが生えていてもなんとかなります。

コロンビアの牧場きのこ

培地を入れて石灰水に浸水。お手伝い中です。

コロンビアの牧場きのこ

これで一週間放置です。

コロンビアの牧場きのこ

開いていた倉庫を利用です。棚は丸太。なかなかの迫力です。

コロンビアの牧場きのこ

水切りは吊り下げでしたので、切り切れなかった水分が袋下部に溜まってきます。袋の端をカットして溜まった水を抜いたあとは洗濯バサミでフタしておきました。

コロンビアの牧場きのこ

きり切れなかった水がたまるよう袋の端をはみ出さしてます。

コロンビアの牧場きのこ

サトウキビの絞り粕です。これを粉砕して使うともっとキノコがでます。

コロンビアの牧場きのこ

芽がでてきました。培地は豆のサヤです。

コロンビアの牧場きのこ

サトウキビの絞り粕。いい感じです。

コロンビアの牧場きのこ

豆サヤから。いっぱい発生してきました。

コロンビアの牧場きのこ

トウモロコシの芯。奥のはコンタミしてそうです。

コロンビアの牧場きのこ

これも豆のサヤ。 この後、アレパコンオンゴスという創作コロンビア料理にしてみんなで食べました。

キノコの種菌について

どうやって入手するか?


「キノコの種菌ってどこで売ってるの?」という質問を頂くこともあります。これだけネットが普及する前のことでしたが。

鳥取だと「しいたけ会館」(きのこ好きでにたまらんネーミングです。宿泊もできます。温泉付き。鳥取に来る機会がありましたら是非利用してください)

しいたけ会館 に併設された しいたけ本舗

で種菌やきのこ関連グッズや加工品等直接買いにいけますが、東京や大阪などで「きのこの種菌」を店頭で販売しているところってどこなんでしょうか?ホームセンター等で時期になれば販売しているかもしれません。

種菌入手方法

種菌入手方法

種がなければ栽培できません。当たり前のことです。さてどうのようにすれば種菌を手に入れることができるのでしょうか?


誰にでも簡単にできるゼロエミ式きのこ栽培ですが、種菌の入手が一番のネックです。

日本のようにキノコ種菌を販売しているところが多くあるような国ならよいですが(購入費用はかかりますが)、入手が困難な国や地域も多いと思います。そんな場合はなんとか自分で種菌をつくらなければいけません。

また、ゼロエミ式きのこ栽培の理念から、費用面、環境面、精神的満足度(全部自分でやった!)という点で、自分で自身の栽培形式、栽培思想にあわせた種菌をつくることも大切になってきます。しかし、比較的キノコ種菌が入手しやすい日本でも、ゼロエミ式きのこ栽培で主に利用しているヒマラヤヒラタケ・ウスヒラタケの種菌を販売している所は少ないです。

キノコ種菌の入手方法は以下のふたつの方法があります。

購入して種菌をGET

自分で作って種菌GET

購入する、自分で作るにしても色々な方法があります。詳細はリンクに説明してありますので、希望する入手方法をチェックしてください。

種菌購入先


手っ取り早いのは種菌を購入することです。通常はキノコの種菌屋さんから購入しますが、昆虫飼育店でもキノコの菌糸は手に入ります。種菌屋さんで購入の場合はヒマラヤヒラタケ、ウスヒラタケの種菌を探して購入してください。昆虫屋さんではヒマラヤヒラタケ、オオヒラタケの菌糸ビンを探しましょう。

■キノコの種菌屋さんで購入

確実に品質の良い種菌が入手できます。
ヒマラヤヒラタケ等種菌は以下の会社で購入できます。

 株式会社キノックス
https://www.kinokkusu.co.jp/kaisha/kaisha.html

ヒマラヤヒラタケ、ウスヒラタケとも850cc入りで945円です。栽培用種菌なので純粋培養、雑菌の混入はありません。種菌専門業者なので品質確実です。送料かかりますが1本から注文受けてくれます。通常の菌床栽培では1キロ詰めビニール袋に接種量20ccで約40袋。40ccで約20袋に接種できます。しかし、完全殺菌をしないゼロエミ式キノコ栽培では種菌は多目に使った方が成功率は高くなります。余ったら冷蔵庫に入れて保管しておけば結構長く使えます。

キノックスさんのサイトは栽培方法の詳しい説明、各品種の特性など詳しく説明してあってとても勉強になります。是非、参照してください。

こちらの種菌会社でも購入可能だったと思います。

 株式会社 千曲化成
https://www.chikumakasei.co.jp/index.html


■昆虫屋さん(クワガタ屋)で購入

裏ワザ的入手法です。

クワガタの幼虫を飼育するために菌糸ビン(菌糸ボトル)というものを売っています。安いところを探せば850cc菌糸ビンが一本150円から200円で購入できます。またプリンカップに入った少量の菌糸も売っていますので少量必要な方はこちらが便利かもしれません。3.5キロのブロック菌糸などもあります。ただ、二次培養菌(ブロック培地で一回菌糸を蔓延したものをビンに小分けに詰め替えて再度、培養する)などもありますので種菌に雑菌の混入していることも多いです。また、あまりキノコ(子実体)の発生しない系統をクワガタ用菌糸ビン用として使っている可能性もあるかもしれませんし、滅多にないと思いますがいわゆるキノコが発芽しないという一次菌糸培養ビンなどもあるかもしれません。ゼロエミ式キノコ栽培の種菌として使用するならヒマラヤヒラタケ、オオヒラタケの菌糸ビンを購入してください(ヒラタケでも可)。googleで「菌糸ビン」「クワガタ」で検索して昆虫屋さんを探してみましょう。近所にあるかもしれません。


■オークションサイトで購入

ヒマラヤヒラタケ、オオヒラタケの菌糸ビンを探しましょう。

 ビッターズオークション (とっくに閉鎖されてますね。以前はここでよく虫を買っていたのですが)

ヤフオク


■当研究所から

当研究所の「ヒマラヤヒラタケ」、「ウスヒラタケ」の菌糸(種菌)をお試し用として実費にてお譲りいたします。在庫があればですが。必要量等、メールにてお問い合わせください。

キノコ種菌の作り方

種菌自家生産

種菌を買わないで自分で作ってしまいましょう。コストも抑えられますし、自身の栽培形態にあった種菌を作れます(種菌容器、種菌培地種類、量など)。全部自分でやることにより自己満足度も高くなってより楽しくなります。作るといっても色々な方法があるのでなんとか詳細説明をしていきますが、多分、至らないところもあると思います。ただ、ここで紹介する方法はあくまでゼロエミ式用の種菌生産法として考えてください。


ゼロエミ式種菌生産工程

簡単に説明すると種菌の生産工程は以下のようになります。

1.菌糸をゲット ⇒ 2.育てる(培養) ⇒ 3.原菌つくり ⇒ 4.種菌にする(拡大培養)

*作業はいずれも無菌作業、無菌環境下で行うのが基本です。

工程順

1.菌を入手する

菌糸入手

元になるキノコの菌糸を手に入れなければ何も始まりません。

2.菌を培養する

菌を培養する

ゲットした純粋かつ優秀な菌糸を種菌をつくるために育てなければなりません。培養です。菌糸を育てるための培地を入れた試験管、シャーレーなどで、雑菌の混入に注意しながら菌糸だけを純粋培養します。この菌糸は次回の種菌生産のために使い切らずに数本はキープしておきます。

3.原菌を作る

原菌を作る

ある程度育ちふえた菌糸をもっと効率よく殖やしていき種菌を作るための元菌とします。試験管などで純粋培養された菌糸を表面積の大きいPDA培地に移植して菌糸を殖やします。

4.菌を殖やす

菌を殖やす

通常の菌床栽培ではオガクズに栄養材として米ぬか等を混ぜたものを、高温で完璧に殺菌して冷却後、菌糸を植菌し培養します。それが種菌となります。

上記の工程で、種菌生産(ゼロエミ式きのこ栽培)の大枠がわかると思います。

ゼロエミ式無菌作業

ゼロエミ式無菌作業

まず、この無菌作業を学び、習得せずには種菌の生産などできません。種菌に雑菌は混入していないのがベストです。そのために無菌作業が必要になってきます。


ゼロエミ式キノコ栽培は簡単簡易、誰にでもできるものですが、種菌の生産はちょっと違います。知識、技術、設備などが必要です。

もちろん、ゼロエミ式栽培のための種菌を生産をする目的(研究室で通用する技術や販売目的ではありません)ですので、基本の4L(ローコスト、ローエネルギー、ローテクニック、ロー環境ダメージ)に近づけるため、できるところは極限まで努力、工夫をしていますが(無殺菌・簡易殺菌種菌・子実体をそのまま利用等)、種菌生産のゼロエミ達成指数は栽培とは比べ物にならないくらい低いです。

この無菌作業は慣れてしまえば簡単ですが、マニュアルを読んだだけですぐにできるというようなローテクニックなものでもありません。大学や研究室のような設備の整った所でするのならちょっと教えてもらえばキノコの菌を扱うくらいならすぐに誰でもできるようになると思いますが、ここで対象としているのはそのような設備の導入できないところや家庭での種菌生産です。

そこらへんにあるものを利用してなんとか安く、簡単に良質の種菌を生産しようする試みです。なんでも設備、器具の揃った大学、研究室でやるより、ある意味テクニックが必要で断然に難しいのです。

本来の無菌作業

まずは通常の無菌作業とはどういうものか見てみましょう。

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見てわかるとおり、設備を導入するれば完璧な作業はできるものの、本格的な無菌作業を行うには設備投資に莫大に費用がかかります。


ゼロエミ式無菌作業(自作クリーンベンチ・無菌箱等)

無菌は無理ですと断言したくはありませんが、成功率100%は厳しいかもしれません。限りなく無に近づける努力、工夫をしてなんとか「少菌」にして、あとはテクニックでカバーします。作業が成功するかしないかは作業をする場所の環境つくり(雑菌量)にかかってます。そして、作業技術です。

最適な作業環境づくり

高性能のクリーンベンチ(無菌箱)があれば問題ないのですが、家や貧困地区でのプロジェクトなど高価なクリーンベンチを導入できない所では、なんとかそれにかわる代用品を工夫しなくてはいけません。

使ってないトイレ(クリーンルーム?)に設置した簡易クリーンベンチ(簡易無菌箱)
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これはアクリル板を買ってきて自作したコロンビアのNGOで使用していた簡易無菌箱です。上と横を開くようにしてあります。作業前は器具等は上からいれ、アルコール消毒をして密閉、作業途中に必要になったものは横を最小限にあけてなるべく外気をいれないようにして取り込みます。扱う容器の大きさが決まっていたので、なるべく空間をつくらないのように低めにつくって、作業は上から覗いて行うようにしました。腕をカバーする部分は材質がゴワゴワで使いにくかったです。ただ丸い穴をあけて、そこに台所の流しのゴムのフタのようなものを取り付けてそこから手を入れるようにした方が便利だったかもと思っています。内部の消毒はとにかくアルコールです。アルコールランプはもちろん使用できないので白金耳やスプン、ピンセットなどの直接菌糸に触れるものは最初に火炎滅菌して複数用意し使用していました。足りなくなった場合は仕方ないので外で火炎消毒です。作業なれすればアルコール量も少なくてすむと思いますが、現地ではいままで一度も菌を扱ったことのない同僚に種菌生産を教えまかしていたので、最初のうちは、とにかくこまめにアルコール消毒!と指示して作業をしてもらっていました。設置場所がなんと狭いトイレ!だったので作業終了すると二人とも酔ってヘロヘロでした。便座の椅子は座り心地最高でした。大きな失敗は一度もなく種菌を生産し自家用また販売もしていました。

水槽利用

現在はこれを使っています。横90センチ×高さ45センチ×奥行き45センチのアクリル水槽です。5000円くらいだったでしょうか?随分、水槽も安くなりました、自分が中学のころ28000円はしました!。一番簡単な使い方はその水槽を横置きにしての使用です。それですと前面が全開ですが、上と横が塞がれていればあとは作業テクニックでなんとかなります。自分は前面にプラスチック板を加工して貼り付けて2枚扉式にしています。ちょっと使いにくいところがあって改良しなければならないのですが面倒くさくてそのまま使用しています。作業方法は上の自作箱に準じています。注意点は水槽の大きさです。横は扱う量がすくなければ小さい水槽でも構いませんが、問題は奥行きです。(横にして使うので奥行きが無菌箱の高さになります)45センチは上から覗き込むには高く、前から覗きこむには低いです(自分の椅子の場合)。もし、購入する場合はシュミレーションしてからにしましょう。

簡易ビニールハウス

これは近所のホームセンターで見つけたのですがかなり使えそうな気がします。いらない時はバラせるし、持ち運びもラク。高さがあるので中でアルコールランプも使えると思います。前面のビニールをどう加工するかだけです。もちろんこれを真似たものをパイプなどで組んで自作するのもアリです。ただ自作の方が高くついてしまうような気がしますが。はやくこれに気がつけばよかったです。

ダンボール、衣装ケース

ちょっと貧乏くさい感じがしますが、これでも十分できます。横と上がふさがっていますので基本的には水槽をただ横に並べて使うのとかわりません。ただ、ダンボールは納豆の入っていたものなどは気持ち的にお勧めしません。衣装ケースは水洗いやアルコールで拭けるのが利点ですが、奥行きが深いものがいいと思います。

衝立て

上は開きますが左右はなんとがブロックできます。何もないよりかはましです。

風呂場

結構いいです。作業前にお湯シャワーを出し、蒸気で空中浮遊菌をキャッチし落下させてしまいましょう。蒸気が落ち着いたら作業開始です。作業前にシャワーを浴びれば清潔にもなります。問題なければそのまま裸で作業してしまいましょう。

発展型

箱ものには、HEPAフィルター付きの空気清浄機を取り付けたり、ゴム手袋を接続したり等、自分なりの「自作クリーンベンチ・無菌箱」を製作しましょう。


作業時の注意点

作業前

清潔な服装 手洗い アルコール消毒

まず、作業前は必ず石鹸で手を洗いましょう。あれば薬用石鹸、オスバン。服装はなるべく清潔なもの。できたらシャワーを浴びてそのまま裸で作業しましょう。ふざけているようですが一番清潔です。直前は肘から先をアルコールで消毒します。また、必要器具、用品をアルコール消毒し作業場に配置します。簡易無菌箱での作業の場合は内部にアルコールを噴霧して雑菌数を減らします。

作業中

簡易的な設備ほどほど間違いなく雑菌は多いです。空中に浮遊しています。また落下した菌はそこら中に付着しています。作業は見えない菌との戦いです。見えない菌を感じながら作業しましょう。具体的には、空気を動かさないようになるべく静かに作業する、無菌を保たねばならない培地は容器の開閉をすばやく作業する、またできたら容器の口は落下してくる菌が混入しないよう横、または下向きにして作業する、菌糸に直接触れる器具の部分は他の場所に直接接触させない、こまめにアルコール消毒、火炎滅菌をするなどです。

作業後

使用した器具を洗い、散乱した菌糸クズなどをふき取り作業場を清潔にしておきます。


見えない菌を見る

菌の侵入口を絶えず下に向ける、侵入口を空ける時間をなるべく減らす素早い作業など、テクニックさえ身に着ければ、簡易無菌箱などなくともアルコールランプ1個でキノコの菌くらいなら扱えるようになりますが、成功率をUPさせるには、最初は身近なものを利用して簡易クリーンベンチをつくった方がいいと思います。

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キノコ種菌の作り方

キノコ種菌の作り方

種菌自家生産

種菌を買わないで自分で作ってしまいましょう。コストも抑えられますし、自身の栽培形態にあった種菌を作れます(種菌容器、種菌培地種類、量など)。全部自分でやることにより自己満足度も高くなってより楽しくなります。作るといっても色々な方法があるのでなんとか詳細説明をしていきますが、多分、至らないところもあると思います。ただ、ここで紹介する方法はあくまでゼロエミ式用の種菌生産法として考えてください。


ゼロエミ式種菌生産工程

簡単に説明すると種菌の生産工程は以下のようになります。

1.菌糸をゲット ⇒ 2.育てる(培養) ⇒ 3.原菌つくり ⇒ 4.種菌にする(拡大培養)

*作業はいずれも無菌作業、無菌環境下で行うのが基本です。

工程順

1.菌を入手する

菌糸入手

元になるキノコの菌糸を手に入れなければ何も始まりません。

菌糸入手

種菌を自家生産する上で問題なのはどう菌糸を入手するかです。菌糸さえ手に入れば多少の技術と経験が必要ですが、種菌をつくることはそう難しいことではありません。菌糸をゲットするには4つの方法があります


購入種菌から入手

一番簡単で手っ取りばやく、確実な方法です。購入した種菌から菌糸を頂く行為です。購入した種菌ボトルの中には菌糸がいっぱいなので購入した時点でもう菌糸はゲットされています。その菌糸を別の培地に移して拡大培養します。販売されている種菌は雑菌のいない純粋かつ優秀な系統の菌を使用していますので菌のポテンシャルも問題ないです。

(注)日本国内でこの行為は犯罪行為になる場合があります。以下のページで確認してください。

きのこの種苗法について

キノコ(子実体)から入手

山から採ってきた野生のキノコ、またスーパーで売っているキノコから菌糸をゲットする方法です。キノコの組織(肉?身?)を培養すると菌糸(コピー菌糸です。組織を分離したキノコと同じ遺伝子の菌糸)が伸びてきますので、その菌糸をふやして種菌にします。

軸の太いキノコなら内部は雑菌に侵されていないので、軸を二つに裂いて内部の組織を切りだして分離すると成功率は高いです。小さいキノコや細いキノコ、また水分の多いキノコはきれいな部分が少ないので少し難しくなります。

野生のキノコは遺伝的に優秀(キノコがよくでて、成長が早い)かどうかわからないので、栽培するのには若干不安があるのですが、自分で採ってきたキノコを使って種菌をつくって栽培してキノコが出てくると満足度はかなり高いです。趣味でやる分には最高の方法かもしれません。野生ではゼロエミ式で利用しているヒマラヤヒラタケはあまりみかけませんが、ウスヒラタケは結構みかけます。見つけたら菌の分離にチャレンジして見てください。

一方、スーパーで売っているキノコは優秀な系統の種菌からつくられたキノコだと思いますので、ここから菌糸をとれればいい優秀な遺伝子を持った種菌が生産できます。つまり優秀な親のコピーをとるわけです。(あまりスーパーでヒマラヤ、ウスヒラタケは売っていません…最近はヒラタケさえも見かけません…)

(注意)スーパーのキノコから菌糸をとって種菌にする行為は法律違反ではないようです。農水省に電話して確認しました。ただ、電話応対してくれた方も若干曖昧な回答だったのですが。自分で使用する程度なら問題はないと思います。

(追記) その後、メールにて回答をもらいましたがいまいち理解できませんでした…上記リンクに経緯があります。確認してください。スーパーのキノコからも違反かもしれません。

基材から

キノコが発生している場所(主に材)から菌を分離して菌糸をゲットする方法です。小さいく細いキノコなどは清潔な組織を切り出すことが難しいので、キノコが生えている材の内部に蔓延している菌糸から分離することもできます。

キノコの生えている材を割ります。
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白いところが菌糸です(画像ではイマイチわかりませんが…)。クワガタの幼虫のいる部分はダメです。
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外気に触れていない菌糸のまわった欠片を持ち帰って菌を分離します。
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胞子から

胞子から発芽させてもキノコの菌糸はとれます。胞子とはキノコの種(子供)ですから、それを発芽させれば菌糸が伸びでくるので、その菌糸をふやして種菌にします。

ただ、他の方法に比べると手間もかかりますし難しいです。特に野生キノコの場合は生育環境上、色々な雑菌が多く付着しているので、キノコの菌糸だけでなく、雑菌も一緒に成長してきてしまい失敗することが多いです。

スーパーのキノコの場合、比較的きれいで成功の確率は野生きのこよりは高いです。ただ、胞子は簡単に言えばキノコの子供で、親(胞子とったキノコ)とは遺伝子が違います。この点が「キノコ(子実体)から」の方法と大きく違うところです。選抜された優秀な親と違い、ダメな子供できてしまう可能性もあるのです。

キノコには無数の胞子がありますので、無数の子供(遺伝子の違う)がつくれます。それらの子供のなかから優秀な親になれる系統の菌を選抜することもできます。この胞子の組み合わせによって色々な系統を作出し、そこから優秀な系統だけ選抜し、栽培実験を重ね登録種菌とする方法があります。もの凄い手間と時間と根気のいる作業です。

2.菌を培養する

菌を培養する

ゲットした純粋かつ優秀な菌糸を種菌をつくるために育てなければなりません。培養です。菌糸を育てるための培地を入れた試験管、シャーレーなどで、雑菌の混入に注意しながら菌糸だけを純粋培養します。この菌糸は次回の種菌生産のために使い切らずに数本はキープしておきます。

菌を培養する

ここでは1.購入種菌から、2.子実体から、3.基材から、4.胞子から菌糸を分離して培養して殖やす方法を説明します。


<作業環境>

清潔な場所でできるだけ無菌環境に近づけて行います。

ゼロエミ式無菌作業


<工程1>-菌を分離・発菌させて培養するための培地を作ります。

菌分離用培地を準備します。キノコの菌の分離にはもっとも一般的なPDA培地をここでは使います。

ジャガイモ砂糖寒天(PDA)培地の作り方

1.まず寒天を買っておきましょう。
小さい袋にわかれた寒天(粉状)が便利です。 なければ普通のでかまいません。
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2.じゃがいもを1個用意します(中から大きめのもの)皮をむいて三等分か四等分にしてください。
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3.鍋に水500ミリリットル入れ、その中にジャガイモをいれて30分くらいグツグツ煮ます。(電子レンジでも可だと思います)
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4.煮終わったらジャガイモをとります。(食べましょう)
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5.多分500ミリリットルはないので、不足し分の水をたして500ミリリットルにします。
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6.そこに寒天12~3グラム、砂糖10グラムを入れて、再度煮て溶かします。
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7.すっかり溶けきったら火を消し、ガーゼ等でろ過して不純物を取り除きます。
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8.固まらないうちに試験管やビンにそのろ過液を移し替えて完了です。あとは、それらを殺菌します。
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面倒くさがりなひとは粉を溶かすだけのPDA培地も売っています。コロンビアでは出発前、餞別でいただいた粉末PDAを使っていました。とても便利です。購入したことはまだないですが、以下の会社で 購入できそうです。ボトル入りと少量の小袋入りがあるようです。

アクテクトの粉末培地


他に利用できるもの

寒天がない、手に入らない、そんな場合はあれば無色のゼリーの粉で代用がきくと思います(今度、実験しておきます)。自分は本当に面倒くさがりですから、いつも何か楽に簡単になるものはないかなあと考えたり探したりしています。

この間はもしかしてこれ使えるかもと「こんにゃくゼリー」を使ってみました。そのまま、ビーカーに入れて溶かしたらグチャグチャネチャネチャでどうもなりませんでした。で、水をたしてみたら、殺菌後、固まってくれません(涙)ゼリーとコンニャク芋と砂糖からできているはずですのでいけるような気がするのですが…これが使えたら手ごろな量だし面倒くさくないし万々歳なのですが…実験は続けていきます。

栄養材はヒラタケ類キノコの菌を培養する目的であれば、面倒くさいジャガイモ+砂糖でなくとも、粉モノ(小麦粉など)+砂糖などでもいける気がします(これも実験します)。溶かせば使えるいい栄養錠剤もある気がします。今後もドラッグストア、スーパーで色々チェックしていきます。


<工程2>-PDA培地を入れる容器を準備します。

試験管

そんなに高価でもないですし、入手できるなら便利です。口も細いので、雑菌の混入も防ぎやすいです。菌の分離作業の場合、失敗する確率もあるので失敗しても一本あたりに使う培地量の少ない試験管は便利です。特に野生のキノコから分離する場合は、コンタミ率が高くなるので本数を多くこなす必要があります。斜面培養しますが表面積が少ないので1本の試験管からそんなに多くは拡大培養できません。

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細口平型ガラス瓶

試験管、シャーレーの手の入らない国、地域でもガラス瓶くらい手にはいると思います。コロンビアでは一番入手しやすいタイプのビンで重宝してましたが、日本ではなかなこのタイプのビンがありません。ノーマルの丸ビンですと斜面培養では寒天量が多く必要ですし、ビンを立てて底の方で平面培養すると菌が取り出しにくいです。一方、平らのビンなら横にして寒天培地を流し込むと寒天培地量の節約にもなるし、表面積も大きくとれます。また、拡大培養作業時も、試験管などは片方の手がふさがることが多いですが、このタイプのビンは、横にして置いときながら作業ができます。シャーレーと違い、口が細く、また横向きで置いておく限りは落下菌の混入を最小限に防ぐことができます。簡易な設備で作業する場合にはうってつけの容器です。 培地量が試験管より多く必要なため、失敗率の高い菌の分離作業時に使うより、元菌作り時に使用した方がいいです。

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シャーレー

菌の伸張具合、雑菌の混入状態は見やすいですが、キノコの菌の分離時にフタをはずさなければならないので、フタの開閉時間、具合によっては雑菌が混入するおそれがあります。クリーンベンチなどで作業する分には問題ありませんが、ゼロエミ式では設備の悪いところでの作業も想定しているのでシャーレーはイマイチな感じです。ただ、滅菌シャーレーとか培地入りのシャーレーなども日本では売っていますので、これらを利用すると便利です。シャーレーといっても色々な種類がでているので自分にあったものを選ぶとよいと思います。

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<工程3>-作ったPDA溶液を容器に移し替えます。

PDA培地を試験管、ビン等の容器に移します。容器ごと適量を割り出し、PDA培地は冷えると固まってしまうので素早くピペット、スポイト、漏斗などを使って作業します。

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綿栓を作る

試験管も、ビンも、殺菌する際フタをしなければいけません。 シリコン栓等、色々ありますがここでは一番アナログな綿(脱脂綿可、一応。脱脂じゃないほうがいいです)を使った方法を紹介します。

綿栓の作り方の説明脱脂綿ですが脱脂じゃないほいうがいいです。容器の口にあったサイズにちぎってベースとします。ベースに入れる「核」を作ります。入れます。包みます。丸めます。できあがり。色々。

使い方

試験管、ビンの口に突っ込みます。ゆるからずきつからずくらいの感じがいいです。 栓をしたら殺菌時濡れないようにアルミホイルで綿栓をつつんで輪ゴムでとめます。


<工程4>-殺菌します。

試験管培地内に存在する雑菌、バクテリアを殺すため殺菌します。殺菌後は清潔な場所で試験管を斜めに置いて冷却し、寒天培地を固めます。

殺菌方法は以下の3種類があります。

高圧殺菌法

高圧殺菌釜(圧力鍋のでかいやつ)で120度で30分殺菌が基本です。電力式とガス式がありますが、ガス式の方が経済的です。高圧殺菌釜は高価なので扱う量が少ない場合は家庭用の圧力鍋で代用できます。鍋の底に2センチ程度水を張り、培地入りの容器を入れます。容器の口が水につからないように入れてください。(台座を置くとよいですが、小さい圧力鍋などは難しいかもしれません。工夫してください)ピーと噴出しそうになったら火力を調節して30~40分間くらいで殺菌できる思います。ただ鍋によって特性があると思うので自分で実験してコンタミ具合を調べ殺菌時間等をつかむ必要があります。また、培地量、培地種類によっても殺菌時間がかわってきます。殺菌終了後は火を消し、圧を自然に抜いてください。圧がぬけたら容器を取り出し、無菌箱内や清潔な場所に試験管なら斜めに置いて冷却して培地を固めます。

高圧殺菌釜の使い方説明

色々な殺菌釜の紹介

【参考サイト】

【技術分類】1-2-3 基本栽培方法/菌床栽培/殺菌工程

電子レンジ殺菌法

自分は電子レンジが怖いのでオススメはしませんが電子レンジでも殺菌できると思います。使いこなせばかなり便利だと思います。機種やワット数により差があると思うので実験が必要ですが、基本は強で5分、一回切って10分休めてからまた強で5分くらいで殺菌できると思います(PDA培地入り試験管はもっと短時間?要実験)。殺菌時間は容器の大きさ、培地量により大きく変わるとおもいます。また培地が乾燥しやすいです。小さい試験管などをレンジにかけるとかなり乾燥してしまうと思います。培地の水分量を増やすとか殺菌時間を最小限におさえるとか、実験して自分のレンジの殺菌条件をつかむ必要があります。せこいビンを使うと破裂の恐れアリです。また密閉したものはやめてください。恐ろしいです。綿栓でフタをしているので内圧は抜けて大丈夫ですが、綿栓をギュウギュウ詰めは若干危険かもしれません。いずれにせよ注意して作業してください。ここに書いてある通りにして破裂しても責任は持てません。レンジ殺菌法はほとんど実験したことがないので。

電子レンジ

常圧殺菌法

蒸気釜(密閉していない)に培地(試験缶、ビン等)を入れて98度で4から6時間殺菌する方法です。もしくは、一回2.3時間を3日間に分けて殺菌します。釜は鍋でもペール缶でもドラム缶でも使えるので釜の購入費自体はさほどかかりませんが、殺菌時間が長時間にわたるためエネルギーの消費が莫大です。どちらかというと栽培用容器殺菌または大量に種菌を生産する場合に使用する方法です。元菌作りの試験管やらビンを殺菌することもできますが、大した本数ではないのでガス代がもったいないですし、小さい鍋の場合すぐ水が蒸発してしまいますので管理が難しいです。

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<工程5>-菌を分離(取り出し)ます。

前ページで紹介した菌の入手4方法1.購入種菌から、2.子実体から、3.基材から、4.胞子から菌糸を分離して方法を個別に説明します。

購入種菌から

購入種菌の菌糸を別のところで培養して純粋化(オガクズを取り除き、コンタミのない菌糸のみの状態にする)します。

(注)わざわざ分離しなくとも購入した種菌は雑菌混入がないと 仮定できますので、多少コンタミの危険性はありますが、購入種菌を直接親菌として拡大培養(種菌生産)することも可能です。ただし、購入種菌の上部(雑菌がいることが多い)の方は捨てる、容器はアルコールで消毒する等の注意は必要です。

 購入種菌から直接種菌を作りたい方は「菌を殖やす」のページへ

子実体から

キノコ自体(子実体)から組織分離(キノコの身を切りだす)して菌糸を培養します。分離して培養した菌糸は元になっているキノコと同じ遺伝子を持ったコピーになります。軸の内部は無菌状態なので肉厚のキノコを利用すると成功率が上がります。

基材から

野生のキノコをから菌糸を分離する場合、きれいなキノコを見つけるのが困難な場合があります。萎んでしまっていたり、腐りかけているキノコの子実体から分離してもほとんど失敗します。そのような時はキノコの生えている材から菌を分離することもできます。材の内部は比較的清潔ですので、菌糸のよく蔓延した部分を切り取りって菌を分離します。

胞子から

キノコの胞子はいうなればキノコの卵です。これを培養して発菌させて菌糸を得ることができます。ただ、胞子は元のキノコの子供ですが、コピーではないので遺伝子が違います。いい親の胞子を使っても親のような優秀な菌糸になるわけではありません。


<工程6>-菌糸を培養します。

工程5を終えた試験管は20度前後(30度以下)で管理して培養します。雑菌、バクテリアに侵されずキノコの菌糸のみがPDA培地に蔓延すれば成功です。

3.原菌を作る

原菌を作る

ある程度育ちふえた菌糸をもっと効率よく殖やしていき種菌を作るための元菌とします。試験管などで純粋培養された菌糸を表面積の大きいPDA培地に移植して菌糸を殖やします。

原菌を作る(植え替え)

菌の分離に成功した菌糸の植え替え作業です。純粋な菌糸のみを殖やします。植え替えた培地上に雑菌の混入がなくきれいに菌糸が蔓延したらそれが種菌をつくる原菌となります。種菌の原菌とは別に親菌用(それをもとに後日また種菌をつくる)も確保します。

菌を培養する でビンなど表面積の大きい容器を使った場合は、この作業を飛ばして菌を殖やす の工程に進んで種菌を作ることも可能です。


<作業環境>

清潔な場所でできるだけ無菌環境に近づけて行います。

ゼロエミ式無菌作業


<工程1>-原菌用にする培地準備を準備します。

寒天培地(PDA)を主に利用します。オガクズ培地、殻粒培地も利用可能です。

寒天培地 (PDA)

寒天培地に関しては以下のページを参照してください。

ジャガイモ砂糖寒天(PDA)培地の作り方

オガクズ培地

オガクズ
米糠

殻粒培地

小麦、大麦、ライ麦などの穀物類を培地とします。コロンビアでは小麦、大麦を使用していましたが(市場で普通に売っているので)、日本ではなかなか手に入らないのではないでしょうか?うちの近所では見かけません。あるのは「押麦」とか「米粒麦」とか精製された麦ばかりです。また、鳥のエサのアワ、ヒエ等も使用可能です。これは比較的身近(スーパー・ホームセンター等)で手に入りやすく、培地調整も簡単です。菌糸生長パワーも抜群です。ただ、食物なのでゼロエミ式理念に反するのと、穀物は栄養あるので培養時、簡易的な場所だとその穀物を狙ってネズミなどが寄ってくるので栽培時の種菌として使う時は注意が必要です。便利で簡単で、とてもよいのですが問題もある培地です。拡大培養(菌を殖やす)ための原菌としては問題は少ないですが、雑菌の混入を若干見落としやすいです。

■使用可能と思われる穀粒

玄米、押麦、米粒麦、鳥のえさ(ミックスシード)皮付き、皮なし、鳩のエサ(トウモロコシ+雑穀)etc このあたりが比較的安くて手に入りやすいものだとおもいます。無料で入手できるものとしてはドングリやネコジャラシの実も使用可能だと思います。

小麦穀粒培地の調整


<工程2>-培地を入れる容器を準備します。

培地を入れる容器は以下のものが利用できます。

PDA培地用容器

平型ビン

試験管は表面積が少ないので向いていません。丸ビンはPDA量が多く必要となってしまいます。シャーレ-は作業環境によっては雑菌の混入に注意が必要です。口の狭い平型ビンが雑菌の混入の危険も少なく、少ない量のPDA量で済みますし効率的です。

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シャーレー

菌の伸張具合、雑菌の混入状態は見やすいですが、作業の際にフタをはずさなければならないので、フタの開閉時間、具合によっては雑菌が混入するおそれがあります。クリーンベンチなどで作業する分には問題ありませんが、ゼロエミ式では設備の悪いところでの作業も想定しているのでシャーレーはイマイチな感じです。ただ、滅菌シャーレーとか培地入りのシャーレーなども日本では売っていますので、これらを利用すると便利です。シャーレーといっても色々な種類がでているので自分にあったものを選ぶとよいと思います。

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オガクズ、殻粒培地用容器

細口ビン(丸型、平型)

こちらは寒天用容器と違い、平型ビンだけでなくノーマルの丸ビン(コーラなど)が使えます。透明でなくともよいですが、やはり中の菌糸の状態をチェックしたいのでなるべくなら透明ビンを使用してください。大きさは小さくても大きくてもかまいませんが、コンタミと失敗率の確率と拡大培養の量とのバランスで各自、適当なビンの大きさを選んでください。簡易無菌箱が小さい場合、あまり大きいのは使い勝手が悪いです。オガクズ培地、穀粒培地は寒天培地にくらべて雑菌の混入に気がつきにくいですが、拡大培養作業が全然楽なので(砕いて振りかけるだけ)自分はいつもこの方法で種菌を生産していました。

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試験管

寒天培地用容器のところで説明した理由と同じで便利は便利です。ただ、試験管は培地があまり入らないのでいっぺんに拡大培養したい場合はちょっと面倒です。しかし、試験管1本から生産できる種菌の数は少ないので、コンタミがあった場合は被害は最小限に抑えられます。ビンを使った場合、そのビンがコンタミしていればすべてのロットがコンタミしてしまいますが、試験管数本から種菌をつくれば、もし、そのうちの数本がコンタミしていたとしても全滅は免れまます。

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PP袋

使えますがガサガサとして次の工程の作業時に不便を感じます。この元菌作りの工程での使用はお勧めできません。

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<工程3>-用意した培地を容器に詰め込みます。

詰めた後は口をテッシュなどで汚れを落とし綿栓をします。

PDA培地

PDA培地を容器に移します。容器ごと適量を割り出し、PDA培地は冷えると固まってしまうので素早くピペット、スポイト、漏斗などを使って作業します。

オガクズ培地、殻粒培地

水分を含んだ調整後のオガクズ培地を細口のビンの詰めるのはちょっと面倒くさいです。手を筒状にしてうまく入れるか、漏斗やペットボトルの口部をカットしたものを利用して詰めます。

小麦穀粒培地作業手順(PP袋:大)

小麦穀粒培地作業手順(PP袋:小)


<工程4>-殺菌します。

培地内に存在する雑菌、バクテリアを殺すため殺菌します。殺菌後は清潔な場所で冷却します。 殺菌方法は 菌を培養する の工程の殺菌方法に準じます。

殺菌方法は以下の3種類があります。

高圧殺菌法

高圧殺菌釜(圧力鍋のでかいやつ)で120度で30分殺菌が基本です。電力式とガス式がありますが、ガス式の方が経済的です。高圧殺菌釜は高価なので扱う量が少ない場合は家庭用の圧力鍋で代用できます。鍋の底に2センチ程度水を張り、培地入りの容器を入れます。容器の口が水につからないように入れてください。(台座を置くとよいですが、小さい圧力鍋などは難しいかもしれません。工夫してください)ピーと噴出しそうになったら火力を調節して30~40分間くらいで殺菌できる思います。ただ鍋によって特性があると思うので自分で実験してコンタミ具合を調べ殺菌時間等をつかむ必要があります。また、培地量、培地種類によっても殺菌時間がかわってきます。殺菌終了後は火を消し、圧を自然に抜いてください。圧がぬけたら容器を取り出し、無菌箱内や清潔な場所に試験管なら斜めに置いて冷却して培地を固めます。

高圧殺菌釜の使い方説明

色々な殺菌釜の紹介

【参考サイト】

【技術分類】1-2-3 基本栽培方法/菌床栽培/殺菌工程

電子レンジ殺菌法

自分は電子レンジが怖いのでオススメはしませんが電子レンジでも殺菌できると思います。使いこなせばかなり便利だと思います。機種やワット数により差があると思うので実験が必要ですが、基本は強で5分、一回切って10分休めてからまた強で5分くらいで殺菌できると思います(PDA培地入り試験管はもっと短時間?要実験)。殺菌時間は容器の大きさ、培地量により大きく変わるとおもいます。また培地が乾燥しやすいです。小さい試験管などをレンジにかけるとかなり乾燥してしまうと思います。培地の水分量を増やすとか殺菌時間を最小限におさえるとか、実験して自分のレンジの殺菌条件をつかむ必要があります。せこいビンを使うと破裂の恐れアリです。また密閉したものはやめてください。恐ろしいです。綿栓でフタをしているので内圧は抜けて大丈夫ですが、綿栓をギュウギュウ詰めは若干危険かもしれません。いずれにせよ注意して作業してください。ここに書いてある通りにして破裂しても責任は持てません。レンジ殺菌法はほとんど実験したことがないので。

電子レンジ

常圧殺菌法

蒸気釜(密閉していない)に培地(試験缶、ビン等)を入れて98度で4から6時間殺菌する方法です。もしくは、一回2.3時間を3日間に分けて殺菌します。釜は鍋でもペール缶でもドラム缶でも使えるので釜の購入費自体はさほどかかりませんが、殺菌時間が長時間にわたるためエネルギーの消費が莫大です。どちらかというと栽培用容器殺菌または大量に種菌を生産する場合に使用する方法です。元菌作りの試験管やらビンを殺菌することもできますが、大した本数ではないのでガス代がもったいないですし、小さい鍋の場合すぐ水が蒸発してしまいますので管理が難しいです。

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<工程5>-菌を移します。

菌糸を殖やすために表面積の広い培地に移植します。

→移植作業手順

PDAや殻粒・オガクズで培養した菌糸から

購入種菌から

購入種菌の菌糸を別のところで培養して純粋化(オガクズを取り除き、コンタミのない菌糸のみの状態にする)します。

(注)わざわざ分離しなくとも購入した種菌は雑菌混入がないと 仮定できますので、多少コンタミの危険性はありますが、購入種菌を直接親菌として拡大培養(種菌生産)することも可能です。ただし、購入種菌の上部(雑菌がいることが多い)の方は捨てる、容器はアルコールで消毒する等の注意は必要です。

購入種菌から直接種菌を作りたい方は「菌を殖やす」のページ


<工程6>-菌を培養します。

菌糸の移植が完了した容器は20度前後(30度以下)で管理して培養します。雑菌、バクテリアに侵されずキノコの菌糸のみが蔓延すれば成功です。

親菌(親株)保管

親菌(親株)とは元菌と同じものですが、元菌を全部使ってしまってはまた一から作業をしなおさなければならないので、元菌用に作ったもののうちから数本、親菌として使わずに保管します。保管場所は冷蔵庫がいいです。後日、種菌を生産するときはその親菌を元にして菌糸を増やし種菌つくりをします。親菌にするのは 雑菌の混入がわかりやすい試験管寒天培地のほうがいいとおもいます。ちょっと乾きやすいですが試験管が場所をとらなくてよいです。ただ、保存期間、保存場 所条件等でやり方が色々とありますので、以下のサイト(特許庁のページ)等で調べてください。

【参考サイト】

【技術分類】4-2 種菌製造/菌株保存

実際的には作った種菌から1本ぬいてそれをまた元菌として利用するといういい加減な方法で生産していました。しかし、移植前に容器のアルコール所毒と、種菌の上部(雑菌がいることが多い)の方は捨てるくらいの注意は必要です。


元菌ができたら以下のページを参考にして種菌を作ります。

菌を殖やす

■面倒くさい方へ

菌を培養するでビンなど表面積の大きい容器を使った場合は、このページの作業を飛ばして直接 菌を殖やす に進むことも可能です。

ただし、この方法だと、種菌生産時に毎回、菌の分離作業(面倒くさい)や種菌を作るための種菌を購入(コストがかかる)しなければならなくなります。余って冷蔵庫などに保管してある購入種菌を使う(コンタミリスクが高い)こともできますが、植え替えて親菌として数本冷蔵庫の中にキープしておいた方が後々便利です。

4.菌を殖やす

菌を殖やす

通常の菌床栽培ではオガクズに栄養材として米ぬか等を混ぜたものを、高温で完璧に殺菌して冷却後、菌糸を植菌し培養します。それが種菌となります。

上記の工程で、種菌生産(ゼロエミ式きのこ栽培)の大枠がわかると思います。

菌を殖やす(種菌生産)

いよいよ種菌生産にはいります。 培養した純粋な菌糸を殺菌した種菌用培地に植え替え拡大培養します。


<作業環境>

清潔な場所でできるだけ無菌環境に近づけて行います。

ゼロエミ式無菌作業


<工程1>-種菌用にする培地準備を準備します。

種菌を作るための培地を準備します。基本はオガクズ培地、殻粒培地になります。その他、種菌の培地になりそうな有機廃棄物は順次実験していきます。

オガクズ培地

オガクズ
米糠

日本で一般に使われている種菌の培地です。広葉樹のオガクズが無難です。針葉樹のオガクズは通常、加水堆積(野外に3ヶ月放置等)してキノコの菌糸の生長の阻害物質を抜いてから利用します。オガクズも栄養材(コメヌカ、フスマ等)も両方、通常、人間が食べるものではないのでゼロエミ理念に合致した培地です。ただ、穀粒培地に比べて菌糸の伸びのパワーに欠けるような気がします。(本当はどうかわかりません。個人的な感想です)雑菌と戦い、共存しながら栽培するゼロエミ式ではスタート時の菌糸の生長スピードが結構重要です。また、小規模レベルの場合、針葉樹の加水堆積はあまり現実的な方法でない(場所がない、そんなに待てない)ので、加水堆積なしでどこまで使えるか、それと竹などのオガクズは利用できるかなども実験または資料を探さなければと思っています。

■オガクズの入手先

製材店

樹種の確認、できれば広葉樹)

昆虫屋さん

カブトムシ用に広葉樹のオガクズが売っています。熟成、発酵とあるものはダメです。生オガコを購入して下さい。粉砕とあるものはシイタケ原木の粉砕物ですので、一応、使用可能ですが生オガの方がいいです。

オークションサイト

広葉樹、クヌギ、コナラのオガクズで発酵、熟成でないもの、未使用の生オガクズがベストです。 粉砕とあるものはシイタケ原木の粉砕物ですので、一応、使用可能ですが生オガの方がいいです。

マット、床材 < 虫類 < … < 住まい、インテリア – Yahoo!オークション

オガクズ培地調整方法

容積比でおがくず10米ぬか1から2くらいで混合します。混合したら水を加えます。水分は握りしめてちょろっと水が染み出るくらいがちょうど良いと言われてます。乾いたおがくずを使用する場合は前日に水を吸収させてください。当日に加水すると容器の下部に吸収しきれなかった水分が溜まってしまいその部分に菌が伸びなくなります。

殻粒培地

原菌を作る

を参照してください。

その他の培地

ゼロエミ式栽培用培地(トウモロコシの芯、豆サヤ、コーヒー粕、ソバ殻等)を殺菌し、菌糸培養して種菌としても使用可能です。また、ゼロエミ式で培養した培地できれいに菌糸が蔓延したものを種菌として使用することもできます。種菌とは理論的には菌糸さえあればいいと思うのですが、どうもそうではないような気もします。種菌培地のエンジンの違い(栄養価)により、接種後の菌糸の生長スピード、勢いが違うような気がしてなりません。とくに、ゼロエミ式のようなほぼ無殺菌のあまり栄養のない培地を使う場合、その違いは顕著な気がします。ただ、これは自分の推測なので、きっちり実験検証したいところです。栄養価の点ではドングリや雑穀などは種菌としてのパワーが十分あると思います。 米のとぎ汁やうどん汁なども活用できないか(例、オガクズに混ぜる、トウモロコシの芯をオガクズにつける等)も研究課題です。調整法は培地種類屋殺菌方法によって違います。培地水分量を60~70パーセントに調整するとよいと思いますが、結構、複雑な計算になると思いますので、とりあえず培地を浸水させてよく水を吸わせ、後によく圧力をかけて水が絞りだせなくなるくらいまで水を切るか、水を適度に混ぜ、消石灰を混合するなど臨機応変な対応が必要になります。


<工程2>-培地を入れる容器を準備します。

培地を入れる容器は以下のものが利用できます。

オガクズ、殻粒培地用容器

細口ビン

種菌用に細口ビンを使用した場合、栽培容器への植菌時、若干、種菌が取り出しにくいです。ただし、口が細い分、作業時に雑菌の混入が少なく一度で全部使用できなくても比較的良好な状態で保存できます。

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広口ビン

口が広いため種菌が取り出しやすい。培地の詰め込みが楽です。ただ、作業時に雑菌が混入しやすく、一度に使わないとコンタミの可能性が少し高いです。またフタ(紙栓)が無菌箱内作業時にかさばって邪魔です。

PP(ポリプロピレン)袋

ビンと違い使いまわしができませんが、袋の大きさにより培地量を調節しやすい(大袋から小袋まで)。使用する際も手でもみほぐせば簡単にバラけるので、取り出しにスプンや棒を使う必要がなく、特に培地混合方式に威力を発揮します。

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<工程3>-用意した培地を容器に詰め込みます。

詰めた後は口をテッシュなどで汚れを落とし綿栓。

オガクズ培地をビンへ

細口ビンに詰める

水分を含んだ調整後のオガクズ培地を細口のビンの詰めるのはちょっと面倒くさいです。漏斗やペットボトルの口部をカットしたものを利用 して詰めます。詰めた後、押圧するのも困難なので、かなりフカフカな状態で詰めることになります。必然的に培地量は少なくなります。フタは綿栓を使用しま す(紙栓でも可)。

広口ビンに詰める

800ccのビンなら培地重量500~550グラム詰めくらいがちょうどいいです。ビン口までオガクズを入れ押圧、またビン口まで入れ て押圧、その繰り返しで肩口あたりまで詰めていきます。詰め終わったら培地の中心に棒などで底まで届く穴を空けます。フタは紙栓、またはキャップに綿栓を 取りつけます。

PP(ポリプロピレン)袋に詰める

殻粒培地をビンへ

細口ビンに詰める

濡れた殻粒を細口のビンに詰めるのはちょっと面倒くさいです。手を筒状にしてうまく入れるか、漏斗やペットボトルの口部をカットしてものを利用して詰めます。

広口ビンに詰める

肩口あたりまで詰めます。フタは紙栓、またはキャップに綿栓を取りつけます。

PP(ポリプロピレン)袋に詰める


<工程4>-殺菌します。

培地内に存在する雑菌、バクテリアを殺すため殺菌します。殺菌後は清潔な場所で冷却します。 殺菌方法は 菌を培養する の工程の殺菌方法に準じます。

殺菌方法は以下の3種類があります。

高圧殺菌法

高圧殺菌釜(圧力鍋のでかいやつ)で120度で30分殺菌が基本です。電力式とガス式がありますが、ガス式の方が経済的です。高圧殺菌釜は高価なので扱う量が少ない場合は家庭用の圧力鍋で代用できます。鍋の底に2センチ程度水を張り、培地入りの容器を入れます。容器の口が水につからないように入れてください。(台座を置くとよいですが、小さい圧力鍋などは難しいかもしれません。工夫してください)ピーと噴出したら火力を調節して30~40分間くらいで殺菌できる思います。ただ鍋によって特性があると思うので自分で実験してコンタミ具合を調べ殺菌時間等をつかむ必要があります。また、培地量、培地種類によっても殺菌時間がかわってきます。殺菌終了後は火を消し、圧を自然に抜いてください。圧がぬけたら容器を取り出し、無菌箱内や清潔な場所に試験管なら斜めに置いて冷却して培地を固めます。

高圧殺菌釜の使い方説明

色々な殺菌釜の紹介

【参考サイト】

【技術分類】1-2-3 基本栽培方法/菌床栽培/殺菌工程

電子レンジ殺菌法

自分は電子レンジが怖いのでオススメはしませんが電子レンジでも殺菌できると思います。使いこなせばかなり便利だと思います。機種やワット数により差があると思うので実験が必要ですが、基本は強で5分、一回切って10分休めてからまた強で5分くらいで殺菌できると思います(PDA培地入り試験管はもっと短時間?要実験)。殺菌時間は容器の大きさ、培地量により大きく変わるとおもいます。また培地が乾燥しやすいです。小さい試験管などをレンジにかけるとかなり乾燥してしまうと思います。培地の水分量を増やすとか殺菌時間を最小限におさえるとか、実験して自分のレンジの殺菌条件をつかむ必要があります。せこいビンを使うと破裂の恐れアリです。また密閉したものはやめてください。恐ろしいです。綿栓でフタをしているので内圧は抜けて大丈夫ですが、綿栓をギュウギュウ詰めは若干危険かもしれません。いずれにせよ注意して作業してください。ここに書いてある通りにして破裂しても責任は持てません。レンジ殺菌法はほとんど実験したことがないので。

電子レンジ

常圧殺菌法

蒸気釜(密閉していない)に培地(試験缶、ビン等)を入れて98度で4から6時間殺菌する方法です。もしくは、一回2.3時間を3日間に分けて殺菌します。釜は鍋でもペール缶でもドラム缶でも使えるので釜の購入費自体はさほどかかりませんが、殺菌時間が長時間にわたるためエネルギーの消費が莫大です。どちらかというと栽培用容器殺菌または大量に種菌を生産する場合に使用する方法です。元菌作りの試験管やらビンを殺菌することもできますが、大した本数ではないのでガス代がもったいないですし、小さい鍋の場合すぐ水が蒸発してしまいますので管理が難しいです。

jyoatsu01

<工程5>-菌を移します。

菌糸を殖やすために表面積の広い培地に移植します。

→移植作業手順

PDAで培養した菌糸から

購入種菌やオガクズ、殻粒培地から

オガクズ、殻粒培地に蔓延した菌糸から薬サジ、スプーン、小サジなどを使って培地をほぐし、すくって種菌用培地に入れます。作業は無菌室(またはそれに準じた場所)で行います。寒天培地より簡単に移植が行えます。、ただ、元菌への雑菌の混入は寒天培地より多少見つけにくいので失敗の可能性は若干高いです。そのため、移植時には容器をよくアルコール消毒すること、元菌の上部は掻きだし廃棄して使わないようにします。元菌はそれを元に拡大培養(多くの種菌を作る)するものなので、その元の菌がコンタミしていると被害は広がります。いかに元菌を雑菌の混入のない菌糸にすることが重要です。被害を最小限にするには元の容器を試験管や小ビンにして数本用意して、各容器からの拡大数を5とか10程度におさえるなどするといいと思います。(ただ、実作業では面倒なので1本で済ましてしまいますが。)


<工程6>-菌を培養します。

菌糸の移植が完了した容器は20度前後(30度以下)で管理して培養します。雑菌、バクテリアに侵されずキノコの菌糸のみが蔓延すれば成功です。