環境教育及び総合学習のプログラム
環境教育及び総合学習のプログラム
ゼロエミ式きのこ栽培を利用した環境教育、総合学習用プログラムづくりを行っています。
キノコを利用した総合学習プログラムは、多くが野生キノコの観察、もしくは、栽培なら木にキノコの菌を植菌するというものだと思います(原木栽培)。
原木栽培は切り倒した木にキノコを植えて栽培します。その栽培過程で自然のサイクル、循環を教えることもできますが(自然に木は朽ち、キノコが生え分解され、長い年月を経て土にかえります)、やはり生きている木を切り倒して栽培するのは、何かを栽培する楽しみ、醍醐味を味わうという点では満点ですが、総合的に見ると多少疑問符がつくと思います。
もし、自然の循環を学ぶという目的があるなら、栽培後の原木はどうするかなども教えなければなりませんが、木は土に還るまでの過程が長いので物理的に難しいです。つまり、原木栽培では短い時間の中で子供が学べることは限定的になってしまいます。(みんなで協力して作業して楽しむことが目的ならば問題はありません。キノコ栽培は楽しいです。)また、原木栽培はキノコの発生まで時間がかかりすぎるのと季節を選ばなければならないのが難点です。
一方、ゼロエミ式では有機廃棄物(豆のサヤ、トウモロコシの芯など)、つまりゴミにキノコを植え栽培します。それらの廃棄物は地域または家庭から排出されるものを使用します。地域の農産物の栽培状況、廃棄物が排出される理由、通常どのように処理されているかなどを学びながら、その廃棄物を有効に利用してキノコを栽培します。
また、栽培後の培地(廃棄物)はミミズ飼育などにリンクさせることにより、肥料、土に変わり、自然に戻っていきます。そして、その土からまた野菜が育ち、収穫し、廃棄物が排出される…という自然のサイクル、循環を直接目にしながら学ぶことができます(廃棄物ゼロ、ゼロエミッション)。つまり、単なるお楽しみの総合学習でなく、本来の総合環境教育をゼロエミ式キノコ栽培で体験することが可能になります。また、栽培期間もキノコの発生まで通常は40日から60日、また管理方法によっては一年中栽培可能です。
ただ、どんなゴミを使ってもキノコが出るというわけではなく、栽培結果も計算できないこともあるので、もし失敗した時の教える側の対応、指導が工夫のいるところです。
是非、真の総合環境教育にゼロエミ式キノコ栽培を利用してください。
プログラム例
ゴミの有効活用
地域、家庭から排出されゴミとされている有機廃棄物を利用してエネルギーを使わない方法でキノコを栽培します。
1.グループごとに身近にあるゴミになっている有機廃棄物を探し集めます。
農家を訪問、家庭のゴミをチェック。ゴミの種類、由来、どのように廃棄しているかを調べましょう。地域のゴミ量、処理費用家庭ごみの処理の流れも合わせて学びます。
■期待される効果
地域の農産物を知る。
家庭でどのようなゴミが排出されているかを知る。
2.集めたゴミを使ってゼロエミ式でキノコを栽培します。
できれば通常の栽培(菌床栽培)とエネルギー消費の点での比較をします。
グループで協力して観察しながら作業、管理にあたります。
■期待される効果
協力作業を学ぶ。
管理、観察の仕方を学ぶ。
農産物生産時に消費するエネルギー量を学ぶ。
(生産食物カロリーと生産にかかるカロリーの比較)
3.成功した廃棄物、失敗した廃棄物を分析します。
要因分析は学年によっては難しいかもしれません。
ただ、成功、失敗の廃棄物リストを作成するだけでもOKです。地域、家庭のゴミで何の廃棄物がキノコ栽培に使えるか調べましょう。
■期待される効果
ゴミの中にも有効な資源になるものがあることに気がつく
4.収穫できたキノコを調理します。
■期待される効果
自分の手で食物をつくる楽しさに気づく。
5.できれば廃培地(栽培後の廃棄物)を堆肥、ミミズ飼育などに利用しましょう。
■期待される効果
自然の循環、持続性を学びます。